白内障と高齢者の見え方|親の変化に気づいたら家族ができること

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「母が新聞を読まなくなった」その裏にある白内障

「最近、母が新聞を読まなくなった」「父が段差でつまずくことが増えた」。
そんな親の変化の裏に、「見え方」の変化が隠れていることがあります。高齢の方の見え方の変化で、よく知られている病気のひとつが「白内障(はくないしょう)」です。

目の中には、カメラのレンズのような役割をする「水晶体(すいしょうたい)」があります。本来は透明なこの水晶体が、年齢とともに少しずつ濁ってくる状態が白内障です。濁りによって光がうまく目の奥まで届かなくなり、見え方にさまざまな変化が現れます。

白内障は加齢にともなって多くの方に見られるものですが、ほかにも糖尿病などの病気、ステロイド薬の使用、目のけがなどが関係することもあると言われています。ゆっくり進むことが多いため、本人も周りも変化に気づきにくいのが特徴です。

白内障で起こりやすい見え方の変化

白内障の見え方は人によって異なりますが、次のような変化がよく挙げられます。

  • 全体がかすんで見える、白っぽくぼやける
  • 明るい場所や日差しの下でまぶしく感じる
  • 夜、車のライトや街灯がにじんで見える
  • 色がくすんで見え、色の区別がつきにくい
  • 物が二重、三重にぶれて見える
  • 眼鏡を替えても見えにくさが続く

ただし、見えにくさの原因は白内障だけではありません。緑内障や加齢黄斑変性など、ほかの目の病気が隠れている場合もあります。見え方に変化を感じたら、自己判断せずに眼科で相談することが大切です。
参考:目がかすむ(かすみ目)―老眼・ドライアイ・白内障を中心に―(国立長寿医療研究センター)

見え方の変化が暮らしに与える影響

見えにくさは、目だけの問題にとどまりません。高齢の方の場合、暮らしのさまざまな場面に影響が広がりやすくなります。

【転倒しやすくなる】

段差の境目や足元の物が見えにくくなると、つまずきや転倒のきっかけになります。特に、薄暗い廊下や階段、夜間のトイレへの移動は注意が必要です。

【家事や服薬で困りごとが増える】

薬の袋の文字が読みにくくなり飲み間違いが起こる、料理の焦げや汚れに気づきにくくなる、ガスの火が見えにくい、といったことも起こりえます。

【外出や人づきあいが減る】

見えにくさから外出がおっくうになり、趣味や人との交流が減ってしまうことがあります。活動量が減ると体の衰えにもつながりやすく、親の「フレイル(虚弱)」のサインについての記事でお伝えしているような変化が進むきっかけにもなります。

また、見えにくさから反応が鈍くなったり、人の顔がわからなかったりする様子が、認知機能の低下と見分けにくいこともあります。「もしかして認知症?」と心配になった時も、まずは見え方に問題がないか確かめてみる視点が役立ちます。

家族が気づきたいサインと受診の目安

白内障はゆっくり進むため、本人は「こんなものだ」と慣れてしまいがちです。次のような様子が見られたら、眼科の受診を一緒に考えてみてください。

  • 新聞や本、テレビから離れるようになった
  • テレビや手元の物に、以前より顔を近づけて見ている
  • 段差でつまずく、物にぶつかることが増えた
  • 日差しや照明をまぶしがる
  • 夜の外出や車の運転を避けるようになった
  • 服の汚れや部屋の散らかりに気づかなくなった

なお、急に見えなくなった、目の痛みや強い充血、吐き気をともなう時などは、白内障とは別の病気の可能性もあります。この場合は早めに医療機関へ連絡してください。

手術すれば見えるようになるの?

ご家族がいちばん気になるのは、「手術をすれば、また前のように見えるの?」「この年齢でも手術を受けられるの?」ということかもしれません。

眼科では、まず視力や目の状態を確かめる検査が行われます。白内障は、初期のうちは眼鏡の調整や暮らしの工夫で過ごし、生活に支障が出てきた段階で手術を検討するのが一般的な考え方とされています。手術を受けるかどうか、いつ受けるかは、見え方の程度や暮らしで困っていること、全身の状態やほかの病気の有無などをふまえて、医師と相談しながら決めていきます。「この年齢でも受けられるか」も、年齢だけでなく体の状態全体を見て判断されるため、遠慮せず眼科で尋ねてみてください。
参考:目がかすむ(かすみ目)(国立長寿医療研究センター)

また、手術後にどのくらい見え方が変わるかには個人差があります。緑内障や加齢黄斑変性など、目のほかの病気が一緒にある場合は、その影響が残ることもあります。「手術をすれば元どおり」と思い込まず、手術でどんなことが期待できるのか、どんな見え方になりそうかを、眼科で具体的に聞いてみることをおすすめします。受診の時にご家族が付き添い、ふだん困っている場面(新聞、階段、夜のトイレなど)を伝えると、相談がしやすくなります。

ご家族ができる暮らしの工夫

受診とあわせて、見えにくさがあっても安心して過ごせるよう、住まいを少し整えておくことも大切です。

  • 廊下や階段、トイレまでの通り道を明るくし、足元灯をつける
  • 段差の端に目立つ色のテープを貼り、境目をわかりやすくする
  • 床に物を置かず、家具の配置をむやみに変えない
  • 薬は大きな文字で書いたケースやカレンダーで管理する
  • まぶしさが気になる時は、カーテンや照明の向きを工夫する

手すりの取り付けや段差の解消には、介護保険の住宅改修の制度が使える場合があります。詳しくは住宅改修の支給対象や申請方法を解説した記事をご覧ください。

まとめ/見え方の変化は、暮らしを見直すきっかけに

白内障は高齢の方にとって身近な目の変化ですが、見えにくさは転倒や服薬、外出など、暮らし全体に影響します。
「最近なんだか様子が違う」と感じたら、見え方にも目を向けてみること。そして受診の判断は眼科などの医療機関に相談してください。
そのうえで、治療を待つ間や、見えにくさが残る間の暮らしをどう支えるかも考えておきたいところです。「新聞が読みづらくなった」という小さな変化の先には、段差でのつまずきや薬の飲み間違いといった、暮らしの困りごとが隠れていることもあります。こうした困りごとは、目の治療とは別に、介護の相談窓口で一緒に考えてもらうことができます。

見えにくさを抱える親の暮らし、誰に相談すればいいか迷っていませんか?
社会福祉法人大石ケ原会の「大石原苑介護支援センター・南吉成地域包括支援センター」(仙台市)は、介護の困りごとを相談できる窓口です。
「眼科に行くまでの間、家での転倒が心配」「薬の飲み間違いが増えてきた」「手すりや住まいの工夫について知りたい」など、目の治療とあわせて、暮らしの困りごともお気軽にお問い合わせください。

※本記事は一般的な情報をお伝えするものであり、診断や治療の代わりとなるものではありません。症状や受診の判断については、医師・医療機関にご相談ください。

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