知っておきたい”失禁”のメカニズムと対処法

高齢者失禁
目次

失禁とは?

「尿失禁」は本人が意図せず、不意に尿が漏れてしまうことを言います。このことで悩んでいる方は大変多いのですが、恥ずかしいという思いもあり、私たち福祉関係者も相談を行ううえで細心の注意を払い対応をしております。

しかし、失禁は日常生活に大きな影響を与える症状になりますので、この様なお悩みを抱えている場合は医療機関に相談されることをお勧めします。

尿失禁の原因と種類

尿失禁の種類は以下の4つのタイプがあります。

切迫性尿失禁

突然尿がしたくなり、我慢が出来ず漏れてしまう失禁です。前触れなく急に尿意を感じ、トイレまで間に合わず失禁してしまいます。

脳や神経に問題があり、膀胱が脳の指示どおりに機能しない時に起こります。または加齢により、尿意と関係なく膀胱が縮んでしまう不安定膀胱が原因になります。

有効な対応としては「余裕をもってトイレに行くこと」や骨盤底を鍛える体操、医師による処方薬の治療があげられます。

腹圧性尿失禁

咳やくしゃみ、大声で笑ったりしてお腹に力が入ると尿が漏れるとよく聞きます。どの年代にも起こりえるもので、加齢による身体機能変化や、妊娠・出産により、骨盤底筋や膀胱周りの筋肉が弱くなったときに発生する為、若年層にも多く見られる代表的な失禁であると言われています。

今のところ有効な治療薬は無く、骨盤底体操と呼ばれるトレーニングの導入を勧められることが一般的です。こちらは大変優れた体操なのですが効果が現れるまで時間がかかるので残念なことに途中であきらめてしまう人が多いのが現実にあります。

いつ流性尿失禁

尿がうまく出せず、膀胱が尿でいっぱいになってしまい、溢れるように少しずつ漏れてしまう失禁です。細菌も入りやすく、腎臓にも悪い影響を与えてしまうので医療機関での治療が必要です。

機能性尿失禁

環境的な要因が大きな失禁です。例えばトイレの場所が分からなかったり、トイレの場所が遠く、間に合わず漏らしてしまうことがそれに当たります。周囲の環境改善が効果的対応となります。

失禁の予防法

先に述べたように、失禁は主に4つのタイプに分かれますが、治療を必要とするもの、トレーニングを要するもの、環境を改善するものと効果的対応が分かれます。よってまず初めに行うことは、自身がどの分類の失禁に該当するかを知ることが大切であり、医師に相談することが改善へのスタートと言えます。

以下、尿失禁への対策として効果的なものを上げてみます。

【環境支援】

トイレの表示を工夫しわかりやすくする
=「トイレ」と大きく表示する
=便器の絵を貼っておくのも効果的

トイレを使いやすくするよう環境を整える
=手すりをつける
=トイレまでの移動導線を歩きやすくする

・脱着しやすい服を選ぶ

・夜間も安全に使用できるようにする

 暗い廊下は距離や場所を認識しづらくなります。また転倒のリスクも大きくなるため、トイレへの道筋は明るくすることが大切です。

【本人への支援】

・排泄のサインに気づく
=落ち着かず、そわそわするなど、尿意や便意がある場合には何かしらのサインがあります。
よく観察してみてください。

・排泄のリズムを把握し、トイレへ誘導する
=一日の排泄のリズムや下剤の服用状況等を把握し、定期的にトイレへ誘導します。
この際、ご本人の自尊心への配慮を行いながらさりげなく声をかけることが大切です。

排泄のための用具

排泄は人間が生活していくうえで必要不可欠な生理現象です。だからこそ他人の手を借りて排泄することは「恥ずかしい」「情けない」と感じてしまうものです。また、介助する側にとっても最低限の技術や知識も必要とされるため、初めて介護を経験する方にとっては戸惑いもあるでしょう。

トイレでの排泄が難しい場合でも、移動が可能な「ポータブルトイレ」ベッド上での排泄を可能とする「尿器」。少量の失禁に対応するパットや紙パンツ、寝たきり状態に対応する「おむつ」等など、その方の状態に対応できる福祉用具が多数存在します。

特に紙パンツやおむつ等の排泄消耗品は、多数のメーカーから販売されており、その用途によって選択肢が分かれます。近年ではドラッグストアでも多くの種類を取り揃えていますので、参考として見られることをお勧めします。

目次
閉じる