排泄ケアで気をつけたいポイント

排泄ケアについて
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排泄ケアの考え方

立つ、歩く、走る、食べる、着替える、排泄する等々、これら日常の生活において自然に行う動作のことを「日常生活動作能力(ADL)」と言います。これらの能力は成長するにつれて発達し、歳を取るにつれて徐々に衰えていきます。避けることのできない自然な流れではありますが、あまり認めづらいことです。特に「失禁」はその最たるものでしょう。

汚してしまった下着やおむつを隠す、嫌がって外す、介護者にあたるなどの行動の背景には、「失禁をしたことを知られたくない」という気持ちや「介護を受けることがイヤ」「オムツをつけることがイヤ」という気持ちが隠れていることがあります。

表出した行動にのみ捉われるのではなく、その行動の背景にある本人の気持ちを理解しようとすることが大切です。接する際の言葉のかけ方、自らの表情にも注意するとともに、やみくもに行動を制限せず、自尊心を尊重したケアを行いたいものです。

排泄ケアの重要性

失禁には様々な原因があります。加齢による身体機能の低下のみならず、薬の副作用・他の病気との関連・妊娠・出産など、決して珍しいことではなく誰しもが経験する可能性があります。ところが、排泄は羞恥心を伴うために、排泄がうまくいかないことで、自己否定から積極的に社会参加を行うことを避けるといったリスクもあります。

また、「排泄」は食事や入浴と違い、「待った」がきかない生理現象であり、我々高齢者福祉の世界では排泄のケアは最も重要な介護行為の一つとして認識されています。それは、本人にとって適切なタイミングで排泄ケアが出来なければ、尊厳のある生活を送ることが難しくなってしまうのからです。

このように、排泄ケアを適切に行うことは非常に重要です。ケアの際にはどのようなことに気をつけると良いのでしょうか。

段階的ケア

高齢者に対して、声をかけたり動向を行ったりすればトイレで排泄できるところから、たまに失敗したり、やがてその殆どが失敗するような状態になるかもしれません。
つまり、排泄の障害は段階的に進行していくものなのです。これは介護する側も大変ですが、介護される側はより精神的苦痛があると認識しておいた方が良いでしょう。

仮にそうなっても失敗を責めるのではなくひとつの成功を互いに喜び合う姿勢が大事になってきます。
その成功のためにトイレに誘導するポータブルトイレを活用する、おむつを併用してみるなどのケアは、本人の生活の意欲に大きな影響を与えます。本人に何が合うのか?様々な可能性を模索するのは大切なことです。

排泄のアセスメント

「アセスメント」とは人やものごとを客観的に評価し、分析することを意味します。介護の業界においてはご利用者一人ひとりの状態像を把握するうえで最初に行う作業です。その方が持っている機能を把握し、状態と環境に合ったケアの在り方を決める重要なツールとなっています。

さて、ここではまず排泄に関する動作を確認してみましょう。

  • 尿意・便意を感じる
    1.  トイレまで移動する
    2.  トイレのドアを開ける
    3.  トイレに入る
    4.  トイレのドアを閉める
    5.  ドアから便座の近くに移動する
    6.  便座のフタを開ける
    7.  下の衣類を下げる
    8.  便座に座る
    9.  用をたす
    10.  後処理(トイレットペーパーで拭く)
    11.  水を流す
    12.  便座から立ちあがる
    13.  下の衣類を上げる(上着も整える)
    14.  便座の近くからドアまで移動
    15.  トイレのドアを開ける
    16.  トイレのドアを閉める
    17.  元にいた部屋まで移動する

「排泄」と一言で言っても、単純に排尿・排泄だけをする活動ではないことが理解できると思います。こうした様々な複合的動作が組み合わされているのが「排泄動作」なのです。

これらひとつひとつの動作を把握し、排泄の何が難しくなっているのか、どこを補助すれば良いのかをアセスメントを通じて把握することが大切です。

これを怠ると過剰な介助となり、衰えを悪化させる危険もあります。逆にうまく活用すれば自立支援に繋がっていきます。

本人の状況に応じたケアの選択

排泄の介助で重要なのは「どこまで一人で行えるのか?」「どこまで介助すれば良いのか?」をしっかり見極めることです。これを理解することによって最適な介助方法を導き出せるのです。

トイレだけでなくポータブルトイレ、尿器・便器、おむつなどの専用の介助器具を活用することも選択肢かと思います。それぞれの環境、使用する器具によってもポイントが違います。そのポイントをしっかり確認しつつ、介護される方にとってどのような排泄方法が適切なのか考えてみましょう。

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