生活に必要な栄養
「食事」とは、人間の欲求の中でも上位に位置するものであり、人間にとって単なる栄養摂取を超えた文化でもあると前回のブログで触れさせていただきました。しかし、「栄養」を疎かにすると体調を崩したり、病気の要因となることもあります。とりわけ高齢になると様々な要因で食欲が低下する傾向があり、健康維持のためも配慮が必要となります。
高齢者の栄養状態の特徴として、年齢を重ねるにつれて活動や運動量が低下し、噛む力や飲み込む力が弱くなり、それによって食べる量が減ってしまうことがあります。
若い頃と比べて、食べる量が減ってしまうことは自然なことですが、健康維持に大事なことは必要な栄養素をどうバランス良く効率的に取り入れるかが重要となるのです。
高齢者に必要な栄養素とは?
高齢者に限らず、体に必要な栄養素は「たんぱく質」「脂質」「炭水化物(糖質)」「ビタミン」「ミネラル」があります。これを『五大栄養素』と言います。
1.炭水化物
脳や体を動かすためのエネルギー源で、吸収率が高いパン、ごはん、麺、イモ類や砂糖に多く含まれます。
2.脂質
体を動かすエネルギー源。神経の組織やホルモンなどを作る成分バター、マーガリン、植物油や肉の脂身に多く含まれます。
3.たんぱく質
筋肉や内臓、皮膚などの体を作るために必要な栄養素 肉や魚、卵、乳製品、そして大豆製品にに多く含まれます。
4.ビタミン
体の調子を整える栄養素。大きく水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分かれるが体の中での働きはビタミンの種類によって異なる。緑黄色野菜や果物、レバーに多く含まれます。
5.食物繊維
便通を良くし、腸の中の有害物質を排出しやすくする働きイモ類、こんにゃく、野菜、果物、海藻、そして玄米などの穀類に含まれます。
効率的に栄養を摂るために
お歳を召すと、どうしても食が細くなりがちです。さらに好きなもの、食べやすいものだけを選んだ偏った食生活を送ってしまうと健康に悪影響となってしまいます。
中国には「医食同源(いしょくどうげん)」という言葉も存在するほどで、適切な栄養摂取が病気の予防に大きな影響を与えることが昔から語られています。
栄養を摂るうえで大事なこと
・主食だけでなく、おかず(主菜・副菜)もしっかり食べること。特に食の細い方は「主菜」から食べて栄養を高めることをお勧めします。
主食・・ごはん、パンなど
主菜・・主にたんぱく質(肉・魚・卵・乳製品など)
副菜・・ビタミン、ミネラル、食物繊維(野菜・海藻・キノコ類)
・1度の食事量を少なくして、数回に分けて食べてみましょう。食事の負担が減らせ、1日の摂取量を増やせることが期待できます。また主食に栄養をプラスするのも良いでしょう。
・高栄養食品の活用
たくさん工夫しても食べれる量が少ない、またはもっと手軽に栄養補給したい場合は、高栄養食品を活用してみましょう。『濃厚流動食品』『栄養強化デザート』などの補助食品が近年ではドラックストアで販売されてます。ただし、こうした食品を活用する際には主治医や栄養士にまずはご相談ください。
食べやすい食品と食べにくい食品
お粥やゼリーなどの柔らかい食品は食べやすくはありますが、高齢者の場合、どうしてもこれら柔らかいものを好む頻度が高くなり、それに伴って栄養素が偏ってしまう傾向があります。硬かったり、弾力があり噛む力や飲み込む力が必要な食品にも高齢者に必要な栄養素が含まれていますので欠かすことはできません。ここでは食べやすい食品、食べにくい食品を紹介します。
食べやすい食品
- おかゆ状・・・・・・お粥、パン粥
- 乳化しているもの・・アイス、ヨーグルト
- ポタージュ状・・・・カレー、シチュー、コーンスープ
- ミンチ状・・・・・・つくね、肉団子
- ゼリー状・・・・・・卵豆腐、ゼリー
食べやすくするための調理法
食べやすくするには「噛みやすく」また「飲み込みやすく」することが重要です。そこで食べやすくする代表的な調理法を紹介します。
今回は高齢者に適した献立について触れさせていただきました。昔は美味しく食べれていたものが、噛む力や飲み込む力が衰えることによって大きく好みが変わってしまうことも多々あります。繰り返しますが「食事」は欲求の上位に位置し、生活の中で大きな楽しみのひとつとなります。
バランス良く栄養を摂りつつ、さらに美味しく感じられるよう、工夫をしてみましょう。