「施設に入れたいけれど、まとまった貯金がない」
「年金だけで毎月の支払いが賄えるか不安で、夜も眠れない」
そんな切実な悩みを抱えているご家族は、実は少なくありません。有料老人ホームのきらびやかな広告を見ると「お金持ちだけが行く場所」と感じてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。
日本の介護保険制度や社会福祉制度には、「所得が低い方でも、安心して適切なケアを受けられる仕組み」がしっかりと組み込まれています。
今回は、貯金がなくても、年金が少なくても、一歩前へ踏み出すための「減額制度」の賢い使い方について、分かりやすく解説します。
1. 施設費用の「高い・安い」が決まる仕組み
まず知っておいていただきたいのは、施設費用の構成です。大きく分けて「介護サービス費」「食費」「居住費(家賃)」の3つがありますが、このうち食費と居住費は、所得によって国が補助してくれる制度があります。
貯金が少ない場合にまず検討すべきは、民間施設よりもこうした「減額制度」がフルに活用できる「公的施設(特別養護老人ホームなど)」です。
2. 最大の味方!「特定入所者介護サービス費」
家計が苦しい方にとって、最も強力な助け舟となるのが「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」という制度です。
どんな制度?
本来、施設での「食費」と「居住費(お部屋代)」は全額自己負担ですが、所得や資産が一定の基準以下の人に対し、「これ以上は払わなくていいですよ」という上限(限度額)を決める制度です。上限を超えた分は、国が代わりに施設へ支払ってくれます。
対象になるのはどんな人?
主に以下の条件を満たす方です。
- 本人および世帯全員が住民税非課税であること
- 預貯金などの資産が一定額以下であること(単身なら500万円〜1,000万円以下など、段階によって異なります)
どれくらい安くなるの?
世帯の所得状況に応じて「第1段階」から「第3段階」までに分かれます。 例えば、通常なら月額15万円ほどかかるケースでも、この制度を利用することで月額5万円〜7万円程度まで抑えられる可能性があります。
3. その他の「家計を助ける」重要制度
「特定入所者〜」以外にも、使える制度はまだあります。
社会福祉法人等による利用者負担軽減制度
生活が特に苦しい方を対象に、社会福祉法人が運営する施設(特養など)が、介護サービス費・食費・居住費をさらに25%(4分の1)軽減してくれる制度です。 「特定入所者〜」と併用できるため、大幅な負担軽減が期待できます。
高額介護サービス費
介護サービス費の自己負担額が、1ヶ月の合計で一定額(所得により異なりますが、一般的には44,400円、所得が低い方は24,600円や15,000円など)を超えた場合、超えた分が申請により払い戻される制度です。
4. 「貯金がない」ときの施設選び、3つの鉄則
具体的にどのように動けば「最短ルート」で家計に優しい施設にたどり着けるのでしょうか。
- 「ユニット型」より「従来型」を選ぶ 最近の施設は個室(ユニット型)が多いですが、4人部屋などの「多床室(従来型)」がある施設を選びましょう。制度を適用した際の居住費が、個室に比べて格段に安くなります。
- まず「市役所」か「地域包括支援センター」へ行く 「自分たちは制度の対象になるのか?」を確認するのが先決です。世帯分離などの法的なアドバイスも含め、最も費用を抑えられる方法を教えてくれます。
- 「社会福祉法人」の施設を狙う 民間企業が運営する施設よりも、前述の軽減制度が適用されやすい社会福祉法人の施設を重点的に探しましょう。
プロのワンポイントアドバイス: 「生活保護を受けていないと安くならないのでは?」と誤解されている方が多いですが、そうではありません。「住民税非課税世帯(年金収入が一定以下の方など)」であれば、多くの方が何らかの減額対象になります。
まとめ:お金のせいで「安心」を諦めないで
「お金がないから、家で最後まで頑張るしかない」 その覚悟は尊いものですが、無理をして家族全員が共倒れになってしまっては元も子もありません。
日本の福祉制度は、「お金があるなしにかかわらず、誰もが尊厳を持って暮らせるように」作られています。今回ご紹介した制度を知り、正しく申請するだけで、これまで「高嶺の花」だと思っていた施設への道が、パッと開けることがあります。
貯金がなくても、道は必ずあります。 まずは「今の年金で入れるところはありますか?」と、地域の窓口で正直に相談してみることから始めてみませんか?

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