認知症の方への接し方のポイント

認知症の方の接し方
目次

1.何気ない声がけがトラブルに・・

認知症の方を介護する中で、何気ない一言が本人を不穏にさせてしまったり、混乱させてしまったりすることがあります。また、介護者が気づかないうちに、認知症の方自身が自尊心を傷つけられたり、落ち込んでしまったりすることもあります。 認知症の方と接する中で注意すべきポイントとはどのようなものでしょうか?

2.認知症の中核症状を理解した接し方が大切

認知症の中核症状は、認知症の方の日常生活に様々な影響を及ぼします。

例えば、認知症の方が食事を食べたことを忘れてしまい、「ごはんまだ?」と何度も同じことを尋ねたり、「ご飯も食べさせてくれない」と怒ったりすることが挙げられます。
これは「記憶障害」の影響によるものであり、認知症の方にとっては常に初めての体験です。

それに対して介護者が「さっき食べたでしょ」「何回同じこと言うの」という言葉をかけてしまうとどうでしょうか。
認知症の方は自身を否定された気持ちになってしまいます。
認知症の方と接する上では、それぞれの言葉や行動が中核症状の影響を受けているということを理解することが非常に大切です。

3.認知症の方との接し方のポイント

(1)否定しないで受け止める

自身の言葉や行動を否定されると、認知症の方は孤独感や寂しさなどを感じてしまいます。否定や命令的な声がけをなくし、肯定的な声がけを心がけましょう

(2)非言語的なコミュニケーションを大切に

認知症の方は、たとえ脳が萎縮してしまっても感情は残っています。 言葉だけでなく優しいしぐさや温かいまなざしで関わることで、「この人と会話して楽しい・落ち着く」などと感じています
また、介護者が相手の気持ちを表情やしぐさ、行動から読み取ることも大切です。
コミュニケーションをとる際は、必ず目線を合わせましょう。逆に遠くや後ろから大きな声をかけるのは相手を驚かせてしまうので気をつけましょう。

(3)一つの声がけで一つの行動を促す

認知症の中核症状に思考力や判断力の障害があるため、物事を理解したり、適切に判断したりすることが難しくなります。そのため、一度にたくさんの情報が入ると、それを処理することが難しくなり混乱する場合があります。
ゆっくり簡潔な言葉で、一つずつ伝えることを意識してください。

(4)本人に寄り添う気持ちを

認知症の症状により、自分が一番輝いていた時代の中で生活される方もいらっしゃいます。仕事をしていた時期、家族の為に一生懸命家事をこなしていた時期、その世界は人により様々です。介護者は、現実だけではなく、相手の世界観に合わせた対応が必要となる場合もあります。
また、相手が深く落ち込んでいるときには、「私が一緒にるから大丈夫」「ここにいれば安心ですよ」と優しく言葉をかけながら寄りそうと良いでしょう。認知症の方が必要としているのは気持ちに寄り添ってくれる人であり、大切なことは感情の交流です。

4.疲労やストレスによる悪循環に気をつけましょう

認知症の方を介護されるご家族には、何度も繰り返されるコミュニ ケーションや日々のお世話の中で、大きなストレスと疲労を抱えている方も少なくないと思います。その中で上記のポイントに沿った対応 を常に継続することは容易なことではありません。

しかし、介護者がストレスや疲労をため込んだまま無理に介護をす ることは、相手、介護者の双方にとって悪循環になってしまうリ スクがあります。介護者の方は、無理に一人で抱え込まず、お互いが「自分の時間を持つ」ということも大切にしてみてください適切に介護サービスを利用することで介護者の方の休息につながると共に、認知症の方も「自分の時間を持つ」ということにつながるのです

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