前頭側頭型認知症とは
今回ご紹介するのは、認知症の中で唯一難病指定されている「前頭側頭型認知症」です。脳はその部分によって司る機能が異なります。前頭葉は「人格・社会性・言語」側頭葉は「記憶・聴覚・言語」を司っている部分です。前頭側頭型認知症を発症してしまうとこれらの機能に大きな影響を与え、他の認知症には見られない特徴的な症状が表れます。
この認知症の原因は、現在研究が進められておりますが解明までに至っておらず、65歳以下の比較的若い世代での発症率が高くなっています。
前頭側頭型認知症はどんな症状?
人格や社会性を司る機能に大きな影響を与えるため、社会規範・常識に反した行動を取る特徴があります。近年高齢者による万引きや暴言・暴力を伴うご近所トラブルが報道されることが多いです。ご家族や知人に聞き取りを行うと「以前は穏やかな人だった」「突然人が変わったようになった」と多く聞かれます。必ずしもその全てが前頭側頭型認知症が原因であるとは限りませんが、大きな原因のひとつとされています。
このように社会性の欠如や感情・行動の抑制が効かなくなるのがこの認知症の代表的な特徴です。この他に同じ道順を歩き続けたり、同じ動作・行動を繰り返す「常同行動」や、感情が希薄となって他人に感情移入や共感ができない「感情の鈍麻」などがあります。相手の言葉をオウム返しにしたり自発的な言葉が出なくなるのも特徴です。
前頭側頭型認知症の治療法
前頭側頭型認知症の有効な治療法はまだ見つかっていないが実情です。そのため症状を緩和するための対症療法やケアが治療の中心となっています。対処療法として、抗うつ病薬の一部に行動異常を和らげる効果が認められています。いずれにしても、これらの症状が表れ始めた初期に専門医を早期受診することが重要となります。
前頭側頭型認知症への対応や予防
前頭側頭型認知症は50~60代と比較的若年期に発症することが多い認知症です。本人自身が「自分が病気だ」という自覚も無いこと、更には症状が特徴的で対応が難しいことから介護を行う家族の負担はとても大きなものになってしまいます。
この病の症状の特徴として、前述した「常同行動」があります。毎日同じ時間に同じ行動を取ることに強いこだわりを持ちます。この行動を抑制するとパニックになり、突然怒り出したりしてしまいます。逆にこの常同行動に沿ったスケジュールに合わせて対応すれば安定が期待出来ます。毎日の生活行動をルーティン化するのも良いでしょう。
このような対処を行っていたとしても理性が働かなくなる病なだけに人に暴言・暴力をふるったり、万引きなどのトラブルを起こしてしまうかもしれません。その行動によっては罪に問われる場合もあります。こうしたトラブルを未然に防ぐうえでも周囲にあらかじめ声をかけておくことが大切です。
お住まいの地域にある地域包括支援センターや交番などにご相談し、事前に対策を立てておくと安心だと思います。
前頭側頭型認知症は「指定難病」であり、医療費の助成などの公費による経済支援もあるのでぜひ活用してください。また施設を利用することも検討している場合には、認知症のケアに特化している施設がお勧めです。その代表的なものとして「グループホーム」があり、こちらは認知症の方を対象として少人数が入居し、共同生活を送る環境であるため、規模の大きな施設と比べて細やかなケアを行うことが可能です。
こうした特徴的な症状がある前頭側頭型認知症の方を介護しているご家庭は、介護の負担だけでは無く周囲の住民にも気配りをする必要もあり、大変ご苦労をされていると聞きます。ひとりで悩まず、抱え込まず、行政機関やお近くの地域包括支援センターなどに遠慮せずご相談することをお勧めいたします。
【当法人が仙台市より委託を受けている地域包括支援センター】
南吉成地域包括支援センター
〒989-3204 仙台市青葉区南吉成7-14-1
Tel:022-719-5733(Fax兼)
E-mail:m.houkatsu@oishigaharakai.or.jp
【当法人が運営するグループホーム】
グループホームこころ
〒989-3204 仙台市青葉区南吉成7-4-1
TEL:022-719-5152 Fax:022-344-8468
E-mail:g.kokoro@oishigaharakai.or.jp