地域ぐるみで介護を行う総合事業！対象者や事業内容をご紹介します

「総合事業」とは？

「総合事業」とは、市町村が中心となり65歳以上の高齢者を対象として、住み慣れた地域で暮らしを続けられるよう身体機能維持向上や社会参加による「介護予防」に取り組むことを地域全体で支えていくための制度です。

これまで市町村で行われていた介護予防事業は、介護認定の申請をして「非該当(自立)」となった高齢者を対象に行われていましたが、総合事業では要介護認定の申請を行わずとも介護予防サービスをできる点が、これまでの介護予防事業との大きな違いになります。

つまり、介護保険サービスが国の制度であることに対し、総合事業は市町村などの自治体が運営する事業であるため、人口数・高齢化率などの各市町村の実情に合わせたサービスが提供される仕組みとなっています。

これら総合事業は市町村などの自治体が中心となって運営しますが、サービスを提供する機関は介護保険事業に参入していた社会福祉法人・民間企業・NPО法人の他、住民やボランティア団体も含まれることになり、従来の介護サービスだけでは支えきれなかった高齢者の生活を多彩な事業主体が加わることによって地域全体で連携しながら支えることが出来るようになりました。

どんな方が総合事業の対象？

総合事業は、「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」に分かれています。介護予防・生活支援サービス事業を利用できる対象者は、介護保険申請で「要支援」と認定された方の他に「基本チェックリスト」で事業対象者と判断された方が利用できます。

基本チェックリストとは？

チェックリストとは、「日用品の買い物をしていますか」など25の質問項目を確認して、日常生活に必要な機能が低下した状態であるかを判定するものです。判定基準に該当する場合は「事業対象者」となります。

総合事業の利用窓口はお住いの市町村窓口または地域包括支援センターとなります。基本チェックリストで心身の状態の確認を行い、その結果によっては要介護認定の申請も検討することになります。

どのようなサービスがあるの？

介護予防・生活支援サービス事業

訪問型サービス

家にホームヘルパーやボランティアなどが訪問して家事などの日常生活の支援を実施します。ただし入浴や排泄などの身体介護は、介護事業所だけが提供できるものであるため、対象者は介護認定で要支援と認定された方のみとなります。

通所型サービス

デイサービスセンターなどの通う形態の施設を利用し、入浴や食事の提供、機能訓練、レクリエーション活動の支援を受けることが出来ます。

その他の生活支援サービス

こちらは市町村が主体となって独自に提供されるサービスで、地域ボランティア団体による見守りサービスや、栄養の改善と見守り機能を併せ持つ配食のサービスが例としてあげられます。

介護予防ケアマネジメント

各自治体が運営・委託している地域包括支援センターが介護予防のケアプランの作成を行います。

※これら総合事業のサービスは各市町村の実情に合わせて独自に設定されているため地域によって内容は異なります。

一般介護予防事業

一般介護予防事業は、地域の「つながり」を活かした介護予防の取り組みです。その中身としては自治会などの地域団体が運営する運動グループなどの立ち上げや介護予防運動のサポーターの養成支援、地域包括支援センターが行う介護予防教室などの普及啓発活動、地域で行われているサロン等へのリハビリ専門職の派遣が代表的な活動例となっています。

一般介護予防事業は、自治体の人口規模や高齢化率、住民ニーズによって違いがあるのが特徴です。ご自分が住んでいる自治体で、どのような事業が行われているのか調べてみるのも良いかと思います。

まとめ

総合事業の最たる目的は、介護にならないためにはどう地域で支えていくのかという一言に尽きます。超高齢化となった我が国において、増大する要介護人口をどう抑制していくかが大きな課題となっております。とはいえ核家族化が進み、近年では高齢者だけの老人世帯も増加し、ひとり暮らしの問題も現れています。

今の時点で介護が必要なくても、高齢での一人暮らしは様々な不安や困りごとがあるものです。住み慣れた地域、そして自宅で安心して暮らしを続けていくうえでも「予防」することは大切ではないでしょうか。将来の生活をどう過ごしていくべきか、もし不安を感じているならばお近くの地域包括支援センターに気軽に相談してみましょう。