レビー小体型認知症とは
これまでもアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症を別記事で触れてきました。
今回取り上げる「レビー小体型認知症」も代表的な認知症でアルツハイマー型・脳血管性認知症と併せ「三大認知症」と言われています。
脳内に「レビー小体」という異常物質が蓄積することで発症することから、レビー小体型認知症と言われています。なぜこの物質が蓄積されるのかはまだ解明されていませんが、蓄積したレビー小体は脳神経細胞を死滅させて認知機能や運動機能を低下させます。
レビー小体型認知症にはどんな症状や特徴があるの?
認知症状に加えて幻視やレム睡眠行動異常、パーキンソニズムの症状などが現れるのもレビー小体型認知症の特徴です。
幻視
レビー小体型認知症の最も特徴的な症状は「幻視」です。
その場に存在しない人影や小動物・虫などが生々しく見えてしまいます。幻視は発症の初期の段階で現れると言われています。
パーキンソン症状
幻視と同じく、初期の段階で現れるものに「パーキンソン症状」があります。
全身の筋肉が硬直し、手足の顕著な震え、歩行障害がその症状になります。
レム睡眠行動異常症
「レム睡眠行動異常症」もレビー小体型認知症の初期段階に見られる特徴的な症状です。
寝ている最中に突然大声を出す、手足をばたつかせて暴れるなどの症状が見られます。
これは、レビー小体型認知症の前兆とも言われ、進行の中期以降はこの症状が治まることが一般的です。
抑うつ状態
レビー小体型認知症に罹患されている方の約半数が「抑うつ」状態になると言われています。理由もなく強い不安や悲しみの感情に襲われ、気分も落ち込むことから食欲不振になるなど、生活に大きな影響を与えます。
その他
他の認知症と共通する障害として、
・新しい情報を記憶できない「記憶障害」
・時間や場所・人を認識できない「見当識障害」
・スケジュールに沿って行動できない「遂行機能障害」
があります。
レビー小体型認知症の予防法・治療方法
レビー小体型認知症は根本的な治療や予防法が確立されていません。
よってその治療は症状を緩和することが目的となっています。
しかし、この認知症は認知機能の調子の良い時と悪い時が波の様に変動するという特徴があり、特に初期段階では記憶力や思考力に殆ど問題が無いため、発見が遅れるケースが多いと言われています。
症状の進行を緩和する治療として薬物療法がありますが、この認知症は薬剤に過敏に反応する可能性が高いと言われています。そのため、服薬後の状態を注意深く観察し、医師に報告しながら量を調節する必要があります。
薬物による治療のほか、感覚を刺激し脳を活性化させる非薬物療法もあります。ご家族が付き添って散歩や外出をしたり、料理や手芸などの趣味を生活に取り入れてたりして、生活に変化を持たせることが有効です。介護保険サービスであるデイサービスでのリハビリテーションや交流・活動支援も進行予防に適しています。
レビー小体型認知症の方への対応はどうすれば良いの?
環境整備
レビー小体型認知症の方には、前屈みや小刻みでのバランスの悪い歩行が見られることが多く、転倒リスクが高いと言えます。よって環境の整備が重要です。
具体的な例を挙げると、「移動する導線の障害物を除去すること」や「つまずきやすい段差を解消して床をフラットな状態にする」ことです。そうすることで転倒を回避できるので効果的です。
否定しない・見守る姿勢
症状の顕著な特徴として「幻視」がありますが、本人にとっては確実に見えているので、否定すると逆効果になり、怒りの感情や恐怖心を起こし精神不安に陥ります。否定はせず安心できる声がけを行うのが良いでしょう。
寝ている時に異常な行動を現す「レム睡眠行動異常症」は、実際に目の当たりにするとご家族も驚いてしまうと思います。
レム睡眠はごく浅い睡眠状態のことを指しますので長時間は継続しません。しばらく様子を見守れば自然と眠りの深い「ノンレム睡眠」に移行うし、穏やかになります。ここで無理に起こしてしまうと夢と現実が混同し、混乱を起こして暴力をふるってしまう危険性があるので、動揺せず見守ることが大切です。
最後に
治療法・予防法が確立されていないレビー小体型認知症ではありますが、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症に次いで3番目に多いとされる認知症です。決して珍しいタイプではありません。
介護を行う上で「認知症」とひとくくりにせず、その種類、原因や特性を理解することが重要ですね。
同じく重要なことは、介護の悩みをひとりで抱えこまないことです。介護の悩みは相談しましょう。
当法人でも相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
詳しくは社会福祉法人 大石ケ原会ホームページをご覧ください。
Oishigaharakai.or.jp