在宅で高齢者が入浴するリスクとは?安全な入浴のポイントは環境整備!

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入浴が難しくなってきたら

高齢者にとって、在宅で生活を送るにあたって、支障になりやすいのが「入浴」です。

お歳を召すと体調を崩しやすくなったり、足腰が衰えてしまいやすく、ひとりでお風呂に入ることが難しくなってしまいます。また認知症の場合、入浴すること自体を嫌がるケースもあり、本人は勿論、介護をする側にとっても大変な課題になっています。

ここでは在宅で困っている入浴の問題に対して、どのような支障や対応方法があるのか具体的に事例も上げて紹介したいと思います。

安全・安楽な入浴環境

介護を必要とするほとんどの方は当然お風呂に入りたいと思っています。それも、これまで長く入ってきた「自宅」のお風呂での入浴が一番と感じています。

しかし、足腰が弱くなった高齢者にとって段差があり、滑りやすい環境での入浴は危険だけでなく恐怖心もあり、そのために入浴を避けてしまう要因にもなっています。安全な環境にするのは当然のことですが、快適であることも大切なことであり、環境設定では、このことも踏まえながら考える必要があります。

入浴で必要な動作

入浴で必要な動作は主に3つあります。

  • 浴室内を移動する
  • 頭や身体を洗う
  • 浴槽に浸かる
  • 浴槽から上がる

それぞれ順番に解説します。

浴室内を移動する

浴室内を移動するには「歩く」必要があります。

しかし、足腰が弱くなった高齢者はふらつきやすく、滑ったり、つまづく等の転倒リスクが高くなってしまいます。また白内障などで視力が低下している方は更に転倒の危険が増してしまいます。

頭や身体を洗う

普段何気なく頭や体を洗っていると思いますが、それは体のバランスがしっかり取れているからこそ行えることです。

洗う動作は思っているよりも複雑な動作を必要とするため、上体が安定せず、ふらついてしまうことが多々あります。お尻を洗う時には立ちあがる必要がありますが、足腰の力が低下した高齢者にとって、この動作自体も難しくなってしまうのです。

浴槽に浸かる

いよいよ湯船に入る時に、支障となるのが浴槽をまたぐ動作です。ある高齢者の方はこのことを「関所(せきしょ)」と表現しました。

歩くこと自体も難しいのに、浴槽という「壁」を超える必要があるのです。無理に入ろうとすると転倒・転落事故が発生してしまう恐れがあり、そのために湯船にはいることを諦めてしまう方が多いのです。

浴槽からあがる

浴槽の中で滑ってしまった経験は老若男女問わずあるかと思います。湯が張ってある状態は「浮力」があるので体への負担が少ない反面、滑りやすく転倒の危険が大きく、溺れてしまうリスクが高いと言えます。

環境整備

これまで高齢者の入浴に潜むリスクを述べてきましたが、これらの危険を軽減し、介助される側、する側にとっても入浴を行いやすい環境整備の方法が確立されています。ここではその代表的な例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

シャワーチェア 

シャワーチェアは体を洗う時に使用する椅子です。石鹸などの泡が付着しても滑らない素材で作られています。

座面の高さが調整できるので、介助を受ける方の体の大きさに合わせることが可能です。折りたためるタイプもあるので使用しない時に保管場所を取らないように配慮されている製品もあります。

浴槽用手すり 

浴槽用手すりは浴槽をまたぐ動作を補助する器具です。浴槽のふちに取り付けて使用します。

グリップにつかまることによって、またぐ動作をスムーズに行うことができます。また浴槽から上がる際にも使用します。

滑り止めマット

滑り止めマットは浴室の床、浴槽の下に敷いて使用します。歩行や立ち上がりの際に足の踏ん張りが効くようになり、転倒や溺れる事故を防ぐことができます。

浴槽台 

浴槽台は槽内で使用する台で、形状は「踏み台」に似ています。浴槽内の高さを減らし、またぐ動作を補助します。浴槽代には座ることもできるので、半身浴を行うことも可能です。

バスボード 

バスボードは浴槽の両縁側に渡して使うもので、浴槽に入る動作を補助する器具です。手すりを使っても、またぐ動作が難しい方に適しています。

すのこ

古い日本家屋の浴室は段差が高いのが一般的です。これを解消するのには「すのこ」を敷くと効果的です。高さ調整ができるもの、滑り止め加工がされた製品も販売されています。

※出典(イラスト) 「介護職員初任者研修課程テキスト3 こころとからだのしくみと生活援助技術」 日本医療企画

まとめ

高齢者が在宅で入浴できる環境例を紹介しましたが、状態が悪化すれば家族の力だけでは対応が難しくなっていくことも考えられます。入浴は深刻な事故に繋がる恐れもあるので、その場合には無理はせず、介護保険のサービスも視野に入れて検討してみましょう。

入浴の対応可能なサービスとしては訪問介護・訪問看護・通所介護・訪問入浴介護・住宅改修・福祉用具購入など、様々な形態があります。こちらのサービスに関しても今後のブログで詳しく紹介してまいります。

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