介護における高齢者の入浴の目的とは?注意すべき弊害もご紹介!

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介護における高齢者の入浴の目的とは?

入浴のことを我が国では「お風呂」と表現します。日本では古来より身体の清潔を保つ手段としての独自のお風呂文化が発展してきました。小さなアパートでも浴槽が設置されていることに海外の方は驚くそうです。

入浴の目的は単に「清潔維持」に留まりません。身体を洗い、皮膚を清潔にすることで細菌などの感染症を予防することも出来ますし、血行や新陳代謝を促進させ健康な体作りにも役立ちます。

特に着目すべきは「リラックス効果」。適温のお湯につかることで副交感神経が働き、体の緊張がほどけます。気分も良くなり、ついつい鼻歌を歌ってしまうのもその例と言えるでしょう。

介護をされる方にとっても、直接肌を見たり、触れることによって体の変化に気づくことが出来るので健康状態把握にも大いに役立ちます。

介護における高齢者の入浴に関する弊害とは?

清潔を保つ、気分も良くなる、健康維持も期待できる。そんな良いことづくめの入浴ですが、高齢者の入浴には大きな危険も存在します。介助を行うにあたって注意すべき危険の代表例を具体的に見てみましょう。

転倒

個人差はありますが、年齢を重ねると足腰の筋力やバランス感覚が衰えてしまいます。浴室は床が濡れていることも多く大変滑りやすい環境です。特に入浴は肌を露出していますので怪我が重症化しやすい傾向にあります。

湯あたり

暖かい湯船に入ると大変気持ちが良いものです。しかし、入浴時間が長すぎたり、温度が高かったりすると体に負担がかかることで「のぼせ」てしまい、いわゆる「湯あたり」を起こしてしまいます。

やけど

高齢者の入浴事故の例として「やけど」も多く報告されています。高温の湯船やシャワーがその原因です。

おぼれる湯船に浸かっている時にバランスを崩したり、または何らかの発作で意識消失を起こしたりしておぼれるという事故も年間数百人単位で報告されています。

ヒートショック現象

近年この言葉も一般的に知られるようになってきました。この現象は気温の急激な変化によって血圧が急上昇することで体にショックを与える現象のことを意味します。気温の高いところから、低いところに移動したときに起こりやすい特徴があり、心疾患や脳血管疾患などの重篤な状況を引き起こす可能性もあります。

安全に入浴するために

せっかくのお風呂。入るならば安心して気持ちよく入りたいものです。しかし、高齢者の入浴には様々な事故のリスクも伴います。こうした事故を防ぐために、知っておくべきポイントを紹介します。

項目内容
入浴前のご様子は普段と変わりないですか?入浴前には体温・血圧・脈拍などのバイタルチェックを行います。これらのチェックだけでなく、普段と顔色や表情が違うかどうかも確認することも必要です。

体調がすぐれない場合は無理をして入浴することは控えましょう。手浴、足浴や清拭などの対応に切り替えてみるのも検討してみましょう。
入浴介助を行うための準備は整っていますか?どの介助を行うにしても事前の準備をしっかり行っておくことが大切です。浴室を常に清潔な状態を保つことは細菌などの感染予防のうえでも必要なことです。特に重要なのはシャンプーや石鹸の残り、床のぬめりを取り除くこと。それだけでも転倒のリスクを軽減することが可能です。

やけどやのぼせの事故を防ぐには、浴槽のお湯の温度に注意してください。入る前には必ず手を入れて適温かどうかの確認をお願いします。(適温は38~40℃・湯船に浸かる時間は5分程度が目安と言われています)

また脱衣場と浴室の温度差を出来るだけ小さくしましょう。ヒートショック現象のリスクを軽減することが出来ます。
安全に入浴できるよう見守りができていますか?介助をされる方は、入浴中は絶対に目を離さないでください。高齢者の入浴には、転倒だけでなく、のぼせやおぼれなどのリスクがあります。

常に変化が気づけるように目を配ることが大切です。高齢の方は一般的に長風呂を好む傾向があります。しかし、長く湯船に浸かると体に大きな負担となるため、長湯を予防するためにも適度なタイミング で声をかけましょう。
入浴後の体調に変わりはありませんか?入浴は体力を消耗するため、疲労感があります。水分補給を行うと共に、十分な休息を取るように心がけてください。

入浴の介助は3大介護のひとつと言われており、生活に欠かせないものです。体の状態や環境に合わせて動き方を工夫することで、安全に入浴することが可能になります。ここで紹介した内容を、是非ご自宅での入浴に参考として活用してみて下さい

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