「民生委員」って聞いたことはあるけど、どんな人が、どんなことをしているのか、詳しいことはよく分からない・・・
✔介護の相談にはのってもらえるの?
✔介護保険やサービスについて教えてもらうことはできるの?
✔施設の情報、手続きや申し込み方法はどうなの?
いろいろな疑問があると思います。今回は「民生委員」について取り上げます。
民生委員とは?
民生委員は、厚生労働大臣から委嘱され、それぞれの地域において、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める方々であり、「児童委員」を兼ねています。
厚生労働省HPより引用
児童委員は、地域の子どもたちが元気に安心して暮らせるように、子どもたちを見守り、子育ての不安や妊娠中の心配ごとなどの相談・支援等を行います。また、一部の児童委員は児童に関することを専門的に担当する「主任児童委員」の指名を受けています。
民生委員・児童委員の立場や配置基準は?
立場 | 非常勤の公務員(厚生労働大臣から嘱託) |
任期 | 3年(再任可) |
報酬 | ボランティア(無報酬) ただし、活動に必要な交通費や通信費などは支給される。 |
配置基準 | 【東京都区部・指定都市】220~440世帯ごとに1人 【中核市・人口10万人以上の市】170~360世帯ごとに1人 【人口10万人未満の市】120~280世帯に1人 【町村】70~200世帯ごとに1人 |
何をしてくれるの?どんな活動をしているの?
民生委員についてなんとなくわかったところで、「じゃ~具体的にどんなことをしてくれるの?」という疑問についてお答えします。
身近な相談役
一言でまとめると「身近な相談役」です。
よく課題として挙げられる「地域のつながりが希薄化」
これによって、在宅介護や子育ての悩みを1人で抱えこんだり、高齢であることや障がいがあることで外出が困難で孤立したりすることが増加しています。
そうした人たちが身近に相談できる相手が民生委員・児童委員というわけです。民生委員・児童委員は、相談を受けるだけでなく、その人に支援が必要であれば、関係機関や専門機関とつないでくれます。
つまり、「地域住民」と「専門機関や行政等」との【パイプの役割】を果たしているのです。
7つのはたらき
最初に分かりやすく一言でまとめましたが、全国民生委員児童委員連合会では、民生委員・児童委員の活動における【7つのはたらき】が紹介されています。
①社会調査 | 【地域住民の実態・福祉ニーズの把握】 |
②相談 | 【地域住民の課題について、相手の立場にたって親身に相談にのる】 |
③情報提供 | 【社会福祉の制度やサービスを住民に提供】 |
④連絡通報 | 【住民がニーズに応じた福祉サービスを得られるよう、関係機関に連絡をし、必要な対応を促すパイプの役割を果たす】 |
⑤調整 | 【住民の福祉ニーズに応じた適切なサービスの提供が得られるように支援】 |
⑥生活支援 | 【住民が求める生活支援活動を自ら行ない、また支援体制をつくる】 |
⑦意見具申 | 【活動を通じて得た問題点や改善策について取りまとめ、必要に応じて民児協をとおして関係機関等に意見を提起】 |
具体的な実例も紹介されています。
7つのはたらき | 実例 |
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①社会調査 | 市の民生委員児童委員協議会が、配食サービスの協力や声かけ、安否確認などの活動を通して住民の実態やニーズを日常的に把握するよう取り組んでいる。 |
②相談 | その中で、民生委員・児童委員は、ある 90 歳の方のお宅を訪問した際、「家族から自宅で介護を続けたいが心身ともに疲労しているのでなんとかしたい」と相談があり、じっくり話を聞いた。 |
③情報提供 | 家族の希望にそって、介護保険制度でできるホームヘルプサービスやショートステイ等のサービスについて情報提供した。 |
④連絡通報 | その後民生委員・児童委員は、本人と家族の申し出により市の窓口に連絡し、サービスを受けるために必要な対応を依頼した。 |
⑤調整 | また、介護保険制度にはない買い物の介助などのニーズに対し、サービスを利用できるよう社会福祉協議会の事業やボランティア活動利用の調整をした。 |
⑥生活支援 | 家族が外出する時には、近所やボランティアグループと連携して留守中の見守りを行うなど、自らも支援するとともに、家族だけでは対応しきれない事柄に対して、解決に取り組んだ。 |
⑦意見具申 | 市の民生委員児童委員協議会では、在宅で介護している家族への支援の必要性など各委員の訪問活動を通じて知り得た問題点を取りまとめ、行政、社会福祉協議会、ボランティア、民生委員児童委員協議会等が、家族が継続して介護を行えるためのプログラムを協力して実施してはどうかという意見を市に提起した。 |
このように、介護に関する相談にのってくれたり、必要としているサービスの情報提供や調整をしてくれたりします。
また、現状の課題解決だけにとどまらず、今後同じような問題が起こらないよう、どのようにしたら良いかをまとめ、行政に意見を提出する活動等も行っています。
その他【サロン運営】【災害に備えた取り組み】など
他にも具体的な活動内容をいくつか紹介します。
- 高齢者や障がい者世帯の実態把握や見守り、定期的な訪問
- 「子育てサロン」や「いきいきサロン」などのサロン運営
子育ての悩みを共有したり、家にこもりがちな高齢者のために居場所を設けたりすることで、孤立をなくす活動。 - 災害に備えた取り組み
行政や自治会などと連携して避難訓練を行う。
自力で避難できない高齢者や障がい者を把握し、その方々を地域で支援できる体制づくりに協力する。
幅広くさまざまな活動をしてくださっていることが分かりますね。
どんな人が民生委員・児童委員をしているの? どうやって選ばれるの?
民生委員法に定める要件を満たす人が選ばれる対象になります。
要件には、それぞれの地域の実情をよく知っていること、社会福祉に対する理解と熱意のある人などが挙げられ、特別な資格等は要件ではありません。
要件を満たして対象となった方の中から、市町村の民生委員推薦会が都道府県知事等に推薦します。都道府県知事等は、地方社会福祉審議会の意見を聴き(努力義務)、厚生労働大臣へと推薦を行います。その後、厚生労働大臣が委嘱をする、という流れで、公正な手続きを経て選ばれています。
全国に約23万人の民生委員・児童委員がいますが、現状、15000人程度の欠員が生じています。さらに、欠員は増加傾向にあるため、なり手不足が問題視されています。
民生委員・児童委員に相談したい場合は、お住まいの市区町村に問い合わせることで、あなたの区域の担当民生委員・児童委員を知ることができます。
悩みや不安は抱えこまずに相談を
最後まで読んでくださっている方の中には、介護に関する悩み不安がある方もいらっしゃるでしょう。
初めての介護でわからないことだらけ
在宅で介護しているけどこの先が不安
こんなサービスがあったらいいのに。。
民生委員・児童委員は、身近な相談役です。気軽に相談してみるのもいいかもしれません。話を聞いてもらうだけでも気持ちがスッキリすることもありますよ。
当法人でも相談を受け付けています。抱えこまずに、お気軽にご相談ください。
【当法人が仙台市より委託を受けている地域包括支援センター】
〒989-3204仙台市青葉区南吉成7-14-1
Tel:022-719-5733(Fax兼)
E-mail:m.houkatsu@oishigaharakai.or.jp