実家に帰ると、テーブルの端に健康診断の結果が置きっぱなしになっていた。「腎臓の数値がちょっと引っかかってね」と言いながら、親は「でも、どこも痛くないから」と笑っている。
「本人は元気だから」と、そのままになっていることはありませんか?
慢性腎臓病(CKD)は、初期にはほとんど自覚症状がないと言われる病気です。だからこそ、ご家族が知っておくことで、早めに医療機関につなぐきっかけになります。
この記事では、慢性腎臓病の基本と、ご家族が気づきたいサイン、暮らしの中で気をつけたいことについてご紹介します。
慢性腎臓病(CKD)とは?
腎臓は、血液をろ過して体の中の老廃物や余分な水分・塩分を尿として出す、いわば「体のフィルター」の役割をしています。ほかにも、血圧の調整や、血液をつくる働きを助けるなど、体のバランスを保つために欠かせない臓器です。
慢性腎臓病とは、腎臓の働きが低下した状態や、尿にたんぱくが出るなど腎臓の障害を示す状態が、長く続いていることをまとめて指す呼び名です。特定のひとつの病気ではなく、さまざまな原因で腎臓の働きが少しずつ落ちていく状態を広く含みます。進んでいくと、末期腎不全となって人工透析や腎移植が必要になることもあるとされています。
参考:CKD / 慢性腎臓病(厚生労働省 e-ヘルスネット)
自覚症状が出にくいのはなぜ?
腎臓は働きが落ちてきても、残った部分が頑張って補おうとするため、かなり進むまで体の不調として表れにくいと言われています。そのため、本人が「どこも悪くない」と感じていても、健康診断の血液検査や尿検査で初めて見つかることが少なくありません。
健康診断で「尿たんぱく」や「腎機能(クレアチニンなど)」を指摘されたときは、症状がなくても、そのままにせず医療機関で相談することが大切です。
高齢者に多い理由と、関わりの深い病気
腎臓の働きは、年齢とともにゆるやかに低下していくと言われています。さらに、次のような病気や状態があると、腎臓に負担がかかりやすいとされています。
- 高血圧:腎臓の細い血管に負担がかかる
- 糖尿病:高い血糖の状態が続くことで、腎臓の血管が傷みやすい
- 脂質異常症や肥満、喫煙などの生活習慣
- 脱水:体の水分が不足すると、腎臓に流れる血液が減る
高血圧と糖尿病は、慢性腎臓病と特に関わりが深い病気です。それぞれ「高血圧症とは?基準や原因、治療について解説します!」、「糖尿病ってどんな病気?合併症や治療についても解説します!」で詳しく解説しています。生活習慣全体の見直しについては「中高年層に多い生活習慣病とは?種類や予防法を解説します!」もご参考にしてください。
家族が気づきたいサイン
夕方、親が靴下を脱いだら、足首にゴムの跡がくっきり残っていた。最近は「なんだか疲れる」と言って、昼間もこたつで横になっていることが多い。そんな小さな場面が、腎臓からのサインであることもあります。
慢性腎臓病が進んでくると、次のような変化が見られることがあります。ただし、どれも別の原因で起こることもあるため、これだけで判断はできません。「前と比べて変わったか」を見る目安にして、気になる変化が重なってきたら、健康診断の結果と一緒にかかりつけ医に伝えてください。
- 足やまぶたがむくむ、靴下の跡がくっきり残る
- 疲れやすい、だるそうにしている時間が増えた
- 尿が泡立ちやすい、夜にトイレへ起きる回数が増えた
- 顔色が悪い、立ちくらみがある
- 食欲が落ちた、吐き気がある
むくみの見方や家族ができることについては、「【浮腫とは?】むくみは放置すると危険?家族や介護者ができることは?」でも詳しくご紹介しています。
暮らしの中で気をつけたいこと
慢性腎臓病と診断された場合、治療や食事の内容は、腎臓の状態や持病によって一人ひとり異なります。インターネットや知人の話を参考に自己判断で変えるのではなく、医師や管理栄養士の指示に沿って進めることが前提です。そのうえで、ご家族が日頃から気を配れることには次のようなものがあります。
- 食事は指示に沿って:塩分やたんぱく質などの調整は、医師や管理栄養士の指示に合わせる。自己判断で食事を減らしすぎると、低栄養につながることもあります。
- 薬の飲み忘れを防ぐ:血圧や血糖の薬など、処方された薬をきちんと飲めているか見守る。
- 市販薬・サプリメントは相談してから:痛み止めなど、腎臓に負担がかかる成分を含むものもあります。使う前に医師や薬剤師に相談しましょう。
- 水分のとり方も確認を:とりすぎ・とらなすぎのどちらにも注意が必要な場合があります。適切な量は主治医に確認しましょう。
- 定期的な受診と検査を続ける:症状がなくても、通院や検査を途切れさせないことが大切です。
まとめ/「症状がない」うちから向き合うことが大切
慢性腎臓病は、自覚症状が出にくく、気づかないうちに進むことがある病気です。健康診断の結果を一緒に確認する、むくみや疲れやすさなどの変化に気を配るといった、ご家族の小さな関わりが、早めに医療機関につなぐきっかけになります。結果の見方や受診の要否で迷ったら、まずはかかりつけ医に相談しましょう。
今は元気な親でも、通院の付き添いや食事の調整、薬の管理が必要になる日が来るかもしれません。そのときに慌てないためには、困りごとが小さいうちに「介護のことはここに聞けばいい」という相談先を知っておくことが、いちばんの備えになります。「まだ介護というほどではないけれど、この先が少し心配」という段階で相談してかまいません。
この先の介護のこと、誰に相談すればいいか迷ったら
社会福祉法人大石ケ原会の「大石原苑介護支援センター・南吉成地域包括支援センター」(仙台市青葉区)では、ご家族からの介護の困りごとのご相談をお受けしています。どんな介護サービスがあるのか、要介護認定はどう申請するのかなど、いざというときに知っておきたいことを、今のうちに聞いておくこともできます。
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