糖尿病ってどんな病気?合併症や治療についても解説します!

健康診断で「血糖値が高い」と言われたことがありませんか?体調も良いし、太っているわけでもないのに何でだろう?と疑問に感じたことがある方がいるかもしれません。また、「糖尿」という言葉はよく聞くけれど、糖尿病について詳しく知らないという方は多いかもしれません。
そこで今回は生活習慣病の代表とも言える「糖尿病」について触れてみたいと思います。

目次

糖尿病ってどんな病気?

人間が生きていくにはエネルギーが不可欠です。私たちが食事をすると栄養素の一部は「糖」となって腸から吸収されます。実は寝ている時間などにも肝臓は糖を作っています。糖は体にとって大切な栄養素であり、常に血液中を流れ、体のあらゆる臓器に運ばれています。そこで同じく血液中に流れている「インスリン」という名のホルモンの助けを借りることで、活動するためのエネルギーの源を作り出すのです。

さて、糖を細胞内に取り込む働きをするホルモンである「インスリン」、これは膵臓のランゲルハンス島という細胞の集まりの中にあるベータ細胞から分泌されています。インスリンとは血液中の糖を筋肉や肝臓に取り込み、血糖を下げる働きを持つ「唯一のホルモン」です。

この作用によって血液の中にある血糖値が正常に保たれる仕組みとなっていますが、インスリンが上手く分泌されなかったり、働きが低下したりすると血液の中の糖の量が増えて「高血糖」になります。さらにこうした状態が続くと「ブドウ糖毒性」と言われるインスリン分泌不足・インスリンの作用低下が発生します。こうなってしまうことを糖尿病と言います。

糖尿病には色々なタイプがあり、膵臓でインスリンが殆んど作られない「1型糖尿病」、インスリンの分泌される量が少なく、また適切に働かないタイプの「2型糖尿病」に大別されます。そのうちインスリン注射を必要としているのは1型で、高齢者に限らず小児、若年で発症するケースもあります。

またこの他にも妊娠中に発症してしまう糖代謝異常である「妊娠糖尿病」も存在します。厳密には糖尿病には至っていない症状ですが、妊娠中はわずかな高血糖でも胎児に影響を与えてしまうため、こうした名称を用いています。

日本では最近、糖尿病が強く疑われる方が増えています。しかし、実際に治療を受けている方はその中でもごく一部と言われています。
それは、日本人の糖尿病患者の大部分が自覚症状のない2型糖尿病であるためです。本人が気付かないことが原因で放置されてしまっているのです。

糖尿病から起きる合併症

糖尿病がなぜ怖いと言われているのでしょうか?それは糖尿病を基礎疾患として様々な合併症を引き起こすからに他なりません。最近では新型コロナウイルスに感染した場合でも重篤化する基礎疾患としても数えられています。ここではよく知られているものとして「糖尿病の三大合併症」を紹介したいと思います。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は成人後の失明原因のトップにも位置されている合併症です。網膜の血管が障害され、目のかすみ、視力低下などの影響が起こります。症状が進んでしまうと失明してしまうこともあるので、糖尿病に罹患している方は定期的に眼科の検査を行うことをお勧めします。

糖尿病神経障害

血糖値が高い状態が続くと手や足の先端に痛みや痺れを感じたり、また逆に感覚が無くなる麻痺などを引き起こします。その他に立ち眩み、異常な発汗、排尿の障害、便秘や下痢などの症状もあります。高血糖が続くと末梢神経の代謝に異常を引き起こし不必要な物質が溜まってしまったり、神経に栄養を与える血管が傷つき、血流が低下してしまって神経の働きに悪影響を与えてしまいます。

糖尿病腎症

糖尿病によって腎臓の機能が落ちてくると早期の段階では無症状ですが、進行に伴って体の余分な水分や老廃物を尿として体の外に出す機能が弱まり、むくんだり疲れやすくなったりします。また貧血なども現れます。さらに腎機能が低下して腎不全になってしまうと人工透析が必要となってしまいます。

さらに糖尿病が進んでいくと、全身にも様々な合併症が現れます。高血糖状態が続くことで「動脈硬化」という血管が詰まりやすく傷つきやすい状態になり、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気の引き金にもなってしまいます。

糖尿病の原因

糖尿病は我が国の高度経済成長期から増加しているそうです。経済の発展と共に食生活が変化し、とりわけ現代は飽食の時代です。また社会構造も変化し時間に追われ、ストレスも溜まりやすい環境となっています。近年、糖尿病の患者が増加しているのは、こうした背景も影響しています。

  • 食べ過ぎていませんか?
  • 飲みすぎていませんか?
  • 肥満気味になっていませんか?
  • 運動不足を感じていませんか?
  • ストレスは溜まっていませんか?

現代人にとってどれもこれも思い当たることばかりだと思います。これら背景が「発症因子」と呼ばれるもので、その他に血縁者に糖尿病に罹っている人がいれば「遺伝因子」として糖尿病になりやすいと言われています。

糖尿病の治療

糖尿病は発症してしまうと完治が難しい病気です。反面、早く見つけて適切に治療を行えば健康な人と同じように生活を送ることができます。
糖尿病の治療は「血糖のコントロールを良好に保ち、合併症を予防する」ことを目的とします。
治療の内容としては「食事療法」・「運動療法」・「薬物療法」の3つがあります。

食事療法は最も基本となるもので栄養バランスの良い食事を心がけ、適切な量のエネルギーを規則正しく摂ることが重要となります。満腹感を得るには固いものをよく噛んで摂ることが効果的です。

運動にはインスリンの働きを良くして血糖値を下げる効果があります。休みの日に野球やゴルフを行って体を動かしていると語る人もいますが、残念ですが糖尿病の治療には効果はありません。大事なのは適度な運動を「毎日」行うことです。ダイエットブームで一般語として認識された「有酸素運動」がこれにあたります。具体的な例としてはウォーキング、体操や水泳は理想的です。飼い犬の散歩なども生活に密着しているので始めやすいかと思います。何より「続ける」ことが重要です。

食事や運動で効果が十分得られない場合は薬物療法が開始されます。血糖降下薬(飲み薬)やインスリンなどの注射がこれに当たります。

まとめ

糖尿病は一生付き合っていかなければならない病気です。ただし悲観的になることはありません。確かに糖尿病は自己管理がとても大切になる病気です。定期的に通院して治療を行うこと、血糖測定を定期的に行うことの他に食事や運動にも心がけた生活を送る必要があります。きちんと治療を続けて血糖をコントロールしていれば、仕事も続けられるし普通に生活を送ることができます。そうは言っても周囲を見渡せば美味しいものがあったり、誘惑がいっぱいです。自分だけ我慢しなければならないといった孤独感を持つこともあるでしょう。

糖尿病と付き合っていくには周りのサポートも不可欠です。医療や介護スタッフの協力だけでなく家族や友人の理解も治療を続けていく上での力となるでしょう。

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