【関節疾患とは?】どんな疾患?症状は?介護の視点からも解説

年齢を重ねると、転んで怪我をした覚えもないのに「体を動かすと手・指、肘や膝などの関節が痛い」、場合によっては「全身の節々に痛みを感じる」という方も少なくないのではないでしょうか。
原因が分からない痛みは不安に思うものですし、ストレスも感じてしまいます。また、ひとつひとつの動作に痛みがあると日常の生活にも大きな影響が現れまうと思います。
このように関節の痛みが続く場合は「関節疾患」が疑われます。今回は「関節疾患」について取り上げます。

目次

関節疾患とは?

「関節疾患」は高齢者が患う整形疾患の中でも上位に位置しており決して珍しい疾患ではありません。関節の痛みの原因は、炎症を伴うものもあれば伴わないものもあり、関節疾患と言ってもその種類は複数あるため医療機関での適切な診断と治療が必要です。

関節疾患の種類①炎症を伴う場合

前述のように、関節痛の痛みは炎症が伴う場合と伴わない場合の2つがあります。

炎症が原因で痛みが発生する関節痛のことを「関節炎」と言います。
これは痛みだけでなく患部が腫れたり赤みを帯びる外的症状もあり、炎症の度合いを調べる血液検査でも影響が現れます。この場合、炎症によって関節が破壊されてしまうこともあるので早急に対応することが必要です。

関節疾患の種類②炎症を伴わない場合


炎症が伴わない場合は、患部の腫れや赤みなどの外的症状が見られることはあまりありません。また、血液検査でも影響が現れません。このような場合に「痛みの原因は炎症ではない」と判断されます。
炎症以外の痛みの原因として神経や筋肉の痛みが代表的であるとされています。炎症が原因とされる関節炎と違って関節が壊れるケースは少ないと考えられていますが、決して安心しても良いわけではありません。

①炎症を伴う代表的な関節痛

それでは代表的な関節痛について見てみましょう。

関節リウマチ

体を守る役割を持つ「免疫」が異常をきたしたり、力が弱くなること(免疫機能の低下)が原因となって関節に痛みや腫れをもたらす病気です。歳を重ねると体力が低下するだけではなく体を守る免疫も弱くなる傾向にあります。
関節リウマチの症状が進行すると、関節自体が変形したり、脱臼などが起こりやすくなったりするため日常生活に影響をおよぼす可能性があります。部位や症状の進行具合によっては人工関節を用いた手術が必要になることもあります。

化膿性関節炎

切り傷や擦り傷など、日常生活でちょっとした怪我をすることも当然あるかと思います。化膿性関節炎は、そのような皮膚にできた傷など(傷がなくても毛穴から雑菌が体内に侵入することもあります)から雑菌が体の中に侵入し、関節まで入り込んで起きる関節炎です。患部が腫れたり、赤くなったりし、痛みも伴います。
この原因は「菌」であるので、治療においては抗菌剤が使用されます。しかし、免疫が低下している場合は完治まで長期間の投与が必要なケースも多くみられます。特に人工関節が体の中に入っている方の場合、その部分に菌が「巣」を作ってしまうこともあります。そうなると、人工関節の入れ替え手術が必要となるので注意を要します。

痛風

風が吹いただけで痛いと表現される「痛風」、これも関節炎のひとつです。痛風は関節に溜まった「尿酸」の結晶に免疫機能が反応し、関節に激しい痛みの発作を引き起こす疾患です。
カニやウニ、鳥レバー、アンコウの肝、何でも美味しくしてくれる鰹節。こうした食物に多く含まれるのが「プリン体」です。このプリン体が体内で分解されると「尿酸」が作られます。過剰にプリン体を摂取すると多くの尿酸が体内で作られ、それが結晶化し、関節に溜まって炎症を起こすわけです。
痛風はその痛みだけに着目されがちですが、この疾患の恐ろしさは他にもあります。それは「高尿酸血症」です。「高尿酸血症」とは尿酸量が高い状態を言います。高尿酸血症は様々な合併症を引き起こし、腎機能障害や尿路結石、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病に繋がっていく可能性をはらんでいるのです。

②炎症を伴わない代表的な関節痛

線維筋痛症

中年以降の女性に多く発症すると言われている関節痛です。筋肉がこわばることによって全身を針で刺されるような痛みを引き起こすことが特徴です。この原因は精神的・肉体的なストレスによるものと考えられています。そのため、痛みだけでなく手足の痺れ、動悸、呼吸困難、不眠、下痢や便秘などの自律神経に関係する症状も現れることが多いと言われています。

変形性膝・股関節症

長年にわたって関節を使用することで骨の先端にある軟骨が摩耗し、痛みが発生する関節痛です。加齢や遺伝子的な影響もありますが、肥満による体重の増加が原因で軟骨に負担をかけてしまうことも大きな要因と考えられています。その痛みは手指、股関節、背骨にも発生しますが、なかでも膝に発生することが多い疾患です。高齢者介護の現場でも、この関節症を患っている方と出会う機会が多く、この痛みが原因で介助を必要とする方が多いのも特徴です。

変形性膝・股関節症の治療は、どの程度患部が変形しているかで内容が異なります。軽度であれば服薬や注射などで対応しますが、重度の場合は人工関節などを用いる手術を選択する場合もあります。

日常生活への影響と必要な介助

関節痛の痛みの程度、関節の変形の具合にもよりますが、痛みや関節の動きに制限があると歩行や立ち上がりなどの日常動作に大きな影響が出ます。長い距離を歩けない、長く立っていられない、手先を使うことが難しい、となれば買い物や調理、洗濯などの家事も思うように出来なくなってしまいます。

痛みや症状の改善は医療機関での治療を行うことが必要ですが、介護の視点からはどの様な対応が求められるでしょうか。

まずは悪化を予防していくことが重要です。
変形性膝関節症に関しては、体重による膝の負担を軽減するため食事内容を見直して肥満解消することが大事です。また関節に負担がかからないような動作訓練を行うことも考えられます。
介護の施設にはこれらに対応する管理栄養士や理学療法士、作業療法士などの専門職が配置されていることが多いです。また、杖などの動作を補助する福祉用具、自宅の中での生活動作が円滑に出来るようになる福祉用具・住宅改修のサービスが介護保険制度には用意されています。悩んでいたり困っている場合にはお近くの地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に相談されるのも良いかもしれません。

【当法人が仙台市より委託を受けている地域包括支援センター】

南吉成地域包括支援センター

〒989-3204仙台市青葉区南吉成7-14-1

Tel:022-719-5733(Fax兼)

E-mail:m.houkatsu@oishigaharakai.or.jp

【当法人が運営する居宅介護支援事業所】

大石原苑介護支援センター

〒989-3204仙台市青葉区南吉成7-14-1

TEL:022-303-3077(Fax兼)

泉ふるさと村居宅介護支援事業所

〒981-3111仙台市泉区松森字岡本前27

TEL:022-771-8085
Fax:022-773-1058

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