便秘とは
年齢を重ねると「3日以上便が出ないことが多くなった」「便は出るけれど量が少なくてお腹がすっきりしない」と介護に携わる我々もご利用の方からお話を聞きます。しかし、あまり珍しい症状ではなく、自分の周りにも普通に便秘の症状を持つ方が多い為か、なかなか深刻に捉えている方はごく少数の様です。
便秘が続くと腹痛や嘔吐、食欲の低下、集中力低下や自律神経の不調などの症状が現れ、場合によっては腸閉塞などの深刻な病気を引き起こしてしまうので、早めの対処が必要です。ここでは高齢者に多い便秘の原因を知り、適切な対処法について紹介したいと思います。
高齢者が便秘になりやすい理由
高齢者が便秘になりやすい原因は主に以下のものがあげられます。
- 水分が摂れていない
- ご飯を食べる量が少ない
- 運動量が少ない
- 排便に必要な筋力の低下によって便意が感じにくくなる
- 薬の副作用
これらについて更に詳しく解説してみます。
水分が摂れていない
トイレの回数を気にしすぎて、水分を摂らないようにしている方は要注意。特に便秘になりやすくなります。便は腸の中を移動しやすくするために水分を含んでいます。水分を取らないと便が固くなって腸内の移動を妨げてしまい、便が留まることで便秘となってしまいます。
ご飯を食べる量が少ない
高齢になると食事摂取量が減る方が多いと思います。食事量が減ると作られる便も少なくなります。作られる便が少ないと腸の活動や機能が低下してしまい、便秘の原因となります。
運動量が少ない
運動は腸に刺激を与えて、機能を活性化させます。運動量が少ないと腸への刺激が減ってしまい便秘の原因となってしまいます。
排便に必要な筋力の低下によって便意が感じにくくなる
年齢を重ねることで排便に必要な筋力や身体機能が低下し、排便する力が弱くなったり、便意を感じる感覚が鈍くなったりします。便意を感じにくくなってしまうと、排便するタイミングを逃してしまい、便秘になることがあります。
薬の副作用
抗生物質などを服用することで、副作用として便秘になることがあります。
便秘の予防
それでは便秘にならないためにはどうしたら良いのでしょうか?ここでは効果的とされている高齢者が便秘になった際の対処法を紹介します。
水分を適切に摂る
水分をしっかり摂ると便が柔らかくなり、腸内で移動しやすくなります。1日に必要とされる水分の摂取量は2リットルと言われています。ただし、コーヒーや緑茶などに含まれているカフェインは利尿作用があり「尿」として排出されてしまいますので注意が必要です。
排便に良いものを食べる
健康的な排便には「食物繊維」「乳酸菌」が入っている食物が良いと言われています。
例えばりんご、バナナ、ヨーグルト、納豆、オクラなどがこれに当たります。いずれも手に入りやすく、手間をかけなくても食べやすいものばかりです。また食べる量が少なくても便秘の原因となりますので1日3食、バランスの良い食事を心がけましょう。
お腹のマッサージ
お腹をマッサージすると腸への刺激となり、便を運ぶ働き(蠕動運動)が活性化し排便を促します。特にホットタオル等で温めた後にマッサージを行うと血行が良くなって効果を得られやすくなります。
排便に適した体操を行う
適度な運動、特に排便に適した体操を行うと腸の活動が活性化します。
- お腹を凹ませる運動(腹式呼吸)→お腹を凹ませる運動を行うことで腸を刺激します。
- 足曲げ運動→足を曲げることでお腹(腸)を刺激します。
- お尻上げ運動→排便に必要な筋肉「骨盤底筋群」を鍛えます。
- 体を捻る運動→体を捻ることで腸を刺激します。
こちらはいずれも便秘を予防する上で適した運動ですが、膝や関節、お腹に痛みがある場合には運動を中止してください。
生活習慣の見直し
便秘を解消するには生活習慣、つまり「日頃の生活を見直す」ことも重要です。腸の活動は急に良くなるものではないからです。
以下の点を参考として行動しても便秘の解消が期待できます。
- 朝起きたらコップ一杯の水、もしくは白湯を飲む
- トイレに行く時間を決めて、リズムを作る
- 散歩や体操などの運動の習慣を作る
- 水分をとる習慣をつける
- バランスの取れた食事をとる
生活習慣を整えることで、便秘を改善するだけでなく生活習慣病の予防にも繋がります。
主治医に相談
便秘の原因は多数あります。自分で色々試してもなかなか改善されない方もいらっしゃると思います。その場合には主治医の先生やお近くの医療機関を受診して便秘の原因を突き止め、適切な治療やアドバイスを受けましょう。
まとめ
高齢者は身体機能の変化や生活習慣などの影響を受けやすく、便秘になりやすいと言われています。便秘は生活の質を低下させ、健康にも悪影響を与えてしまうことも多いので注意が必要です。せび今回紹介した予防法を参考にして在宅介護にお役立てください。