後遺症のリハビリテーションとは?分類や受ける方法をご紹介します!

これまでも当法人のブログで脳梗塞や脳出血などの後遺症を伴う病に触れてきました。半身麻痺や失語症等々、これら後遺症はその後の生活において大きな影響を与えてしまいます。もし後遺症に患った場合、どう回復を目指し、また悪化を防ぐうえでどの様な選択肢があるのかをここでは触れてみたいと思います。

目次

リハビリテーションとは

リハビリテーション」と聞くと、皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか?脳卒中や骨折の後に残った後遺症に対して行われる訓練というイメージを持つ方が多いと思います。

リハビリテーション」の語源はラテン語の「re(再び)」+「habilis(適した)」にあります。「全人間的復権」ともいわれ、病気やけがなどで障害を抱えてしまった方がその人らしい人生を取り戻すことがリハビリテーションの大きな目的となります。

また、リハビリテーションの大切な役割の一つに予防があります。体というものは動かさないでいる状態が長くなると手足の筋肉が衰え、関節が固くなり体力も低下するなど、すぐに機能の低下が起きてしまいます。これを防ぐには早い時期から適切なリハビリテーションを導入して、障害そのものが起きることを予防し、もし障害が残ったとしてもその程度を最小限に留めることが大切になります。

高齢の方、障害を持った方々が自宅、地域で暮らしていくにも、環境自体が動きづらかったり、体を動かす機会が少なかったりすると心身機能の衰えを招き、要介護の状態となってしまう可能性もあります。こうしたことを考えると普段の生活の中でも予防的なリハビリテーションはとても重要と言えるでしょう。

リハビリテーションの分類

一般的にリハビリというと筋トレや関節を動かすという運動のイメージが強いと思います。しかし、リハビリにはいくつかの分類があり、後遺症の障害を患った方ひとりひとりの状態や環境に合わせて提供されています。

医学的リハビリテーション

病院などの医療機関、または老人保健施設・デイケア等で提供されている療法。医師・看護師・リハビリ専門職などの医療専門職によるチームで心身機能の回復や維持、強化を目的としています。一般的なリハビリのイメージがこれに当たります。

職業リハビリテーション

障害がある方が社会参加し、就労することを目的としたリハビリテーションで「職業指導」「職業訓練」「職業紹介」などの職業サービスのことを意味しています。

  • 障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)

社会リハビリテーション

  • 社会生活を高めることを目的とした権利を行使するリハビリテーション
  • 障害者自身の全面的発達と権利を確保し、障害社会そのものの再構築を図る社会努力

教育リハビリテーション

障害のある児童、人の能力を向上・開発させ自己実現を図る支援活動。障害児教育、特殊教育、特別支援教育の他、社会教育や生涯教育もこれに含まれます。

リハビリテーション工学

義肢装具、補聴器などのコミュニケーション機器、住宅改造、バリアフリー等の工学的支援があります。

リハビリテーションの専門家

機能回復や維持を図る支援の専門家のことを別名セラピスト(治療者)といい、そのセラピストは理学療法士(PT)・作業療法士(ОT)・言語聴覚士(ST)の3つに大別されています。

理学療法士(PT)

理学療法士は運動・電気・温熱などを用いた物理的手段のリハビリを行います。骨折やスポーツ障害などの整形外科の疾患の他、脳卒中・呼吸器、心疾患など様々な病気も対象としています。

作業療法士(ОT)

脳梗塞や脳出血の後遺症による身体障害、老年期障害・精神障害・発達障害を対象としているのが作業療法士です。理学療法士の物理的手段を用いるリハビリとは異なり、調理や掃除、入浴や更衣などの生活活動を対象としています。

言語聴覚士(ST)

理学療法士や作業療法士と比べると数は少ないですが、実に専門性のあるリハビリの専門家です。「話す・聞く」などのコミュニケーションや「食べる・飲む」などの活動に障害を抱える方を対象としたリハビリテーションを提供しています。

リハビリテーションを受ける方法

専門家によるリハビリを受けるには、疾患の種類や利用する保険の制度によっていくつかの選択肢があります。大きく2つに分けると病院で受ける医療保険対象のものと介護保険で受けるリハビリがあります。

医療保険

一般的にイメージされるリハビリがこれに当たります。整形外科や脳神経外科の病院に入院・受診し、医師が必要と判断すればリハビリが「処方」されます。

介護保険

介護保険で要支援もしくは要介護の認定を受けている方は、介護保険サービスのリハビリを選択することが可能です。介護老人保健施設や通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションなどのリハビリテーションを主体とした形態の他、近年では一般型のデイサービスセンターでもリハビリ体制を整えている事業所も増加しています。単純にリハビリと言っても施設によっては個別・集団型と内容が異なる場合もあるので利用を希望する場合には事前に確認されることをお勧めします。

これら医療や福祉が提供するリハビリテーションの他に、普段の生活で行っているラジオ体操や散歩などの運動、住民同士の交流、家事などの継続も広い意味での「リハビリテーション」と言えるでしょう。日常生活の中で閉じこもらず、体を動かし活発に過ごしていくことが健康的な生活に繋がっていきます。

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