生活習慣病とは
近年、健康ブームと言われるほど中高年層の健康意識が高まっています。散歩と言われていた活動が「ウォーキング」という言葉に変わったり、美味しい健康食品が多数販売されたりと昔から比べて健康に対する考え方が大きく変化しているのではないでしょうか。これは実に良い傾向と言えるでしょう。
さて、皆さんもテレビや新聞、雑誌、最近ではインターネットでも「生活習慣病」という言葉を目にする機会があると思います。病気の主な原因として上げられるのは細菌やウイルスなどの病原体に感染すること、何らかの有害物質を体内に取り込んでしまうこと、また一定の病気にかかりやすい体質が遺伝として引き継がれることも病気の発症原因となることは皆さんもご存じだと思います。
今回取り上げる生活習慣病は食事や運動、飲酒や喫煙といった生活習慣が原因で引き起こされる病気です。これはかつて「成人病」と呼ばれ、その原因は加齢と言われていました。しかし近年では研究も進み、生活習慣病は幼少期からの生活習慣が原因であることが分かってきました。そのため最近では成人病と言わず生活習慣病と呼ばれるようになっています。
生活習慣病の種類
生活習慣病はいくつもの種類があります。ここではその病気の内容には詳しく触れませんが、どれだけ生活習慣が病気の発生原因として影響するのか理解してもらうため列記したいと思います。
生活習慣病に該当する主な病気
生活習慣病に該当する主な病気は以下のようなものがあります。
- 高血圧症
- 脂質異常症
- 2型糖尿病
- 肥満症
- 非アルコール性肝炎
- アルコール性肝炎
- 慢性閉塞性肺疾患
- 歯周病
- 動脈硬化
- 骨粗鬆症
- ロコモティブシンドローム
- サルコペニア
- フレイル
- 睡眠障害
これだけ見ても偏った生活習慣が病気を起こしてしまう要因となることがよく分かると思います。
生活習慣病の恐ろしいところは、これらの病気がさらに命に関わる重篤な病を引き起こすきっかけになる可能性を秘めているところです。例えば心疾患、脳卒中などがこれに当たります。そのため生活習慣病は「サイレントキラー」とも呼ばれるのです。
生活習慣病の原因
生活習慣病のリスクを減らすには、その原因となる生活の習慣を改めることが大切です。それには原因を知ることが必要です。
肥満症・脂質異常症・糖尿病・循環器疾患・大腸がん・歯周病など
ジャンクフード、お菓子、脂っこいもの、糖分などを過剰に摂取する問題のある食生活を送ることによってリスクを高めます。
肥満症・脂質異常症
偏った食生活に加えて、運動不足である場合に発生リスクを高めてしまいます。
アルコール性肝炎・肝硬変・肝臓がん・糖尿病など
過度の飲酒を長年続けると肝臓に負担がかかり、リスクを高めます。お酒は大変すばらしい飲み物で適量であれば「百薬の長」とも言われますが、飲みすぎると「万病のもと」になってしまいます。
歯周病・肺疾患
嗜好品であるタバコ。タバコの煙には実に200種類以上の有害物質が含まれています。その中には発がん性物質も多く、体内に入ってしまうと全身の臓器に影響を与えます。タバコは吸う本人だけではなく、副流煙を吸ってしまった近くの人にも害を及ぼしてしまいます。
我が国は世界的に見てもストレスが多い社会と言われています。このストレスに関しても近年では生活習慣病の原因としてクローズアップされています。ストレスが溜まると、不眠になったり、ストレスを発散するために過度に飲食、多量に飲酒してしまうことがそれにあたります。
生活習慣病を予防するには
生活習慣病は、その言葉通り毎日の習慣を改善することで予防ができます。生活習慣病は複数存在していますが、ひとつの習慣を改善するだけでも多くの生活習慣病を予防することができるのです。さて、それには具体的にどのような予防ができるのか触れてみましょう。
運動
健康を保つために効果的なのはやはり運動です。それも意識して運動することが重要です。運動には有酸素運動・無酸素運動があり、生活習慣病の予防には「有酸素運動」が効果的です。
有酸素運動は、体内に多くの酸素を取り込む運動で、脂肪や糖質の燃焼を促す効果があります。負担も少ないので取り組みやすく、特にウォーキングは手軽に始めることができます。エレベーターに乗らず、階段を使うとか電車に乗るときにひとつ前の駅で降りて歩いてみたりすることも良い手かと思います。
食事
性別や年齢で摂取する食事量は異なります。大事なのは適切な摂取カロリーを守ることです。生活習慣病の好発年齢とされる30~40代の男性では2.650kcal、女性では2.000kcalが適切とされています。
もちろん栄養のバランスも大切で炭水化物、タンパク質、脂質をひとつに偏ることなく摂取してください。ビタミンやミネラル、食物繊維も積極的に摂るように心がけてください。塩分の摂りすぎは高血圧の原因となります。特に血圧が高めの方は1日の摂取量を6g以下に抑えてください。
我が国日本が世界に誇る「和食」。和食は海外でも健康につながる食事として有名です。最近ではYouTubeなどの動画にもレシピが多数公開されているので参考にしても良いかも知れません。
喫煙
生活習慣病の中で最も危険と言われる習慣が喫煙です。体内に多くの有害物質を取り込む行為です。喫煙の習慣を持っている方なら分かると思いますが、タバコの恐ろしいところはその強い依存性にあります。
はっきり言えるのは禁煙するだけで病気のリスクは確実に減るということ。ぜひ禁煙外来などの専門家によるサポートを受けることをお勧めします。
飲酒
お酒は大変優れた飲み物で、穀物・果物を発酵や蒸留という高度な技術を用いて作られています。飲む量が適量であれば血流を良くして動脈硬化の予防にもなる健康食品ともいえるでしょう。しかし、飲みすぎれば体に悪影響となることは言うまでもありません。
睡眠
人間には生理的欲求があります。その中でも生活習慣病に大きな影響を持つのが「睡眠」です。個人差はありますが理想的な睡眠時間は7時間前後と言われています。また睡眠は時間だけでなく、その「質」を高めることが重要です。朝起きた時に「ぐっすり眠れた」という感覚が持てると最高の睡眠であったことになります。質の高い睡眠を可能とするにはやはり適切な食事や運動を行うこと、生活のリズムを整えることが大事です。
運動・食事・喫煙・飲酒・睡眠等、これらの生活習慣はすべて繋がっています。健康はお金では買えないと言われていますが、日ごろの生活を見直して改善していくことで健康に繋げていくことは十分に可能と言えるでしょう。