もし判断が難しくなったら
もし、自分が認知症になってしまって判断する能力を失ってしまった時に
「身の回りのことはどうすればよいのか」
「自分の財産がどうなるか」
など不安に感じることはありませんか?
加齢や認知症の進行などにより、お金を管理したり、支払いや銀行・行政手続きを行ったりすることが難しくなっていくことは十分考えられます。そのようなときに、不当な契約や消費者被害に遭わないわないためにも自身の権利をも守ってくれる制度がある事を知っておくと良いかもしれません。
ここでは、障害、物忘れ、認知症などにより自分の生活に必要な判断や契約を行うことが難しくなった場合に活用できる「日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)」と「成年後見制度」についてご紹介いたします。
日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)とは?
日常生活自立支援事業とは
都道府県社会福祉協議会が主体となり、認知症の方や障害のある方など判断能力が十分でない方々に対して、福祉サービス利用や金銭管理等のサポートを行う事業です。
主な支援内容
・福祉サービスの利用・手続きに関する相談、利用料の支払い等
・日常生活に必要な預貯金の管理、公共料金の支払い等
・保険証書・年金証書・預金通帳・印鑑等の大切な物の保管
サービス利用を希望する場合
① 最寄りの社会福祉協議会へ相談に行く
② 社会福祉協議会の専門員や相談員から生活状況の聞き取りがある
③ ②を元に支援計画が作成される
費用など
相談や支援計画を作成するまでは無料です。
サービスを利用する場合は有料で、その料金は利用料は自治体ごとに異なります。
金銭管理サービス 【1回(1時間) 1000~1500円】程度
書類等預りサービス【月額 500円~1,500円】程度(年額設定もある)
※いずれも所得に応じた減免制度があります。
※所得に応じた利用料が設定されている場合もあります。
成年後見制度とは?
成年後見制度とは
認知症の方や障害により、判断や決定をすることに不安のある方に対し、家庭裁判所が定めた成年後見人が、本人の意思を尊重しながらサポートしてくれる制度です。
成年後見人制度は、大きく①「任意後見制度」②「法廷後見制度」の2つに分かれます。
①任意後見制度
自分で決められるうちに予め任意後見人を定めて、サポートしてもらいたいことを決めておく制度です。
②法廷後見制度
本人の判断能力の状況に応じて「補助」「補佐」「後見」の3種類があり、成年後見人等が本人の代理で契約行為等を行います。
法定後見制度 3類型
補助 | 判断能力が不十分な方を対象とし、一部の行為を代行します。 |
補佐 | 判断能力が著しく不十分な方を対象とし、一部の行為と同意が必要な範囲の行為を代行します。 |
後見 | 判断能力が欠けているのが通常の状態の方を対象とし、すべての行為を代行します。 |
安心して地域で生活するために
社会福祉における大切な考え方ひとつに「権利擁護(アドボカシー)」があります。これは、支援が必要な方の代弁・弁護を行い、サポートを通じてその方の「権利」を守るという取り組みを意味します。今回ご紹介した「日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)」と「成年後見制度」もその一つです。
このほかにも権利擁護を目的とした団体や制度はいくつかございますので、今後、より詳しい内容をご紹介していきます。
また、今回ご紹介した制度をもっと早く知りたい、具体的な相談を早急に行う必要がある方は、まずはお住まいの地域にある「地域包括支援センター」にご相談されることをお勧め致します。