【帯状疱疹】高齢者が早めに受診したい理由と家族ができること

「なんだか背中の右側だけがピリピリするのよ」。電話口でお母さまがそう話していたのに、「寝違えたんじゃない?」と軽く返してしまった。数日後、同じ場所に赤いぶつぶつが出てきた――。
帯状疱疹は、こうした「片側だけの痛み」から始まることが多い病気です。

目次

帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは?

「帯状疱疹」は、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが原因で起こる病気です。
水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体の神経の奥に潜んだまま残っています。普段は体の免疫の力がウイルスを抑えていますが、加齢や疲れ、ストレス、病気などで免疫の力が弱まると、ウイルスが再び活動を始めます。そして神経に沿って皮膚に痛みや発疹が出てくるのが帯状疱疹です。

免疫の力は年齢とともに弱まっていく傾向があるため、帯状疱疹は高齢の方に起こりやすい病気とされています。「水ぼうそうにかかった覚えがない」という方でも、気づかないうちに感染していることがあります。

帯状疱疹のサイン

帯状疱疹には、ほかの皮膚トラブルと見分けるヒントになる特徴があります。

  • 体の左右どちらか片側だけに症状が出る
  • 胸から背中、お腹、顔など、神経に沿って帯のように広がる
  • 発疹より先に、ピリピリ・チクチク・ズキズキした痛みや違和感が出ることが多い
  • 赤い発疹の上に、小さな水ぶくれがいくつも出てくる
  • だるさや発熱を伴うこともある

やっかいなのは、発疹が出る前の「痛みだけの時期」です。この時期は、腰痛や肩こり、筋肉痛などと思われて見過ごされやすいといわれています。高齢の方が「背中の片側だけがなんだか痛い」と言うときは、数日のあいだ肌の様子も気にかけてみてください。

なぜ「早めの受診」が大切なのか

帯状疱疹では、ウイルスの働きを抑えるお薬が使われることがあり、できるだけ早い段階で治療を始めることが大切とされています。「そのうち治まるだろう」と様子を見ている間に、発疹や痛みが広がってしまうこともあります。

片側の痛みと発疹に気づいたら、皮膚科やかかりつけ医に早めに相談してください。次のような場合は、特に早く医療機関にかかることをおすすめします。

  • 顔、特に目のまわりや額、耳のあたりに症状が出ている
  • 痛みが強く、眠れない・食事がとれない
  • 発疹が広い範囲に広がっている、全身に出ている
  • ほかの持病で治療中、免疫を抑えるお薬を使っている

帯状疱疹かどうか、どのような治療が必要かの判断は、医療機関にお任せください。この記事は、ご家族が気づくための目安としてお読みいただければと思います。

後に残る痛み「帯状疱疹後神経痛」への備え

発疹が治まった後も、痛みだけが長く続くことがあります。これを「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼び、高齢の方ほど起こりやすいといわれています。服がこすれるだけで痛む、焼けるような痛みが続くなど、つらさは人それぞれです。

痛みが続くと、眠りが浅くなったり、食欲が落ちたり、外に出るのがおっくうになったりと、暮らし全体に影響が出てきます。高齢者の不眠や、体と心の活力が落ちるフレイルにつながらないよう、痛みを我慢させず、医師に相談し続けることが大切です。痛みの治療には専門の外来もありますので、主治医に相談してみてください。

2025年度から、帯状疱疹ワクチンが定期接種に

帯状疱疹にはワクチンがあります。厚生労働省によると、2025年度から、65歳の方などを対象に、帯状疱疹ワクチンが予防接種法に基づく定期接種になりました。また、2025年度から2029年度までの5年間は経過措置として、その年度内に70・75・80・85・90・95・100歳になる方も対象とされています。

対象となる方は国が定めていますが、接種を受けられる期間や費用は、お住まいの自治体によって異なります。親御さんが対象になるかどうか、いつまでに受ければよいかは、お住まいの自治体の案内やかかりつけ医に確認してみましょう。

参考:帯状疱疹ワクチン(厚生労働省)

家族や介護者ができること

水ぶくれに触れない・かきこわさない

水ぶくれをつぶしたりかいたりすると、そこから細菌が入って悪化することがあります。爪を短く切っておく、肌ざわりのやわらかい衣類を選ぶなど、患部をこすらない工夫をしてあげてください。塗り薬やガーゼの扱いは、医療機関の指示に従いましょう。

まわりの人への配慮

帯状疱疹そのものが人にうつることはありませんが、水ぶくれの中のウイルスによって、水ぼうそうにかかったことのない人(乳幼児など)や妊娠中の方には水ぼうそうとしてうつる可能性があるといわれています。水ぶくれがかさぶたになるまでは、患部を覆い、小さなお孫さんとの接触などには気を配りましょう。タオルの共用も避けると安心です。感染症への備えは高齢者がかかりやすい冬の感染症の記事でもまとめています。

ゆっくり休める環境を整える

帯状疱疹は、体の疲れや免疫の力が落ちているサインでもあります。家事や役割をいったん手放してもらい、しっかり休める時間と環境をつくってあげることも、ご家族にできる大切な支えです。

まとめ/「片側の痛み」に気づいたら、まずは医療機関へ

帯状疱疹は、高齢の方にとって身近な病気です。体の片側の痛み、帯のように広がる発疹に気づいたら、早めに医療機関へ相談してください。ご家族の「いつもと違う」という気づきが、早めの受診につながります。

治療が終わってからも痛みが続き、家事や買い物、通院の付き添いが負担になってきた――。そんなときは、介護の相談窓口も頼ってみてください。仙台市青葉区の大石原苑介護支援センター・南吉成地域包括支援センター(社会福祉法人大石ケ原会)では、痛みで暮らしが不自由になったときに使えるサービスなど、介護のことをご家族からもご相談いただけます。「こんなことを聞いてもいいのかな」という小さな疑問からで大丈夫です。

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