実家で夕飯の支度を手伝っていると、母がペットボトルを差し出して「これ、開けてくれる?」と言った。「朝は指がこわばって、なかなか動かないのよ」。見ると、指の付け根のあたりが少し腫れているようにも見える。
「年だから手が弱くなったのかな」と、そのままにしていませんか?
手や足の指の関節のこわばりや腫れは、関節リウマチのサインであることがあります。気づいたら早めに医療機関に相談することが大切とされる病気です。
この記事では、関節リウマチの基本と、ご家族が気づきたいサイン、毎日の暮らしを楽にする工夫についてご紹介します。
関節リウマチとは?
関節リウマチは、本来は体を守るはずの免疫のしくみに異常が起こり、関節に炎症が起きて、腫れや痛みが生じる病気です。手や足の指、手首などに症状が出ることが多く、進行すると関節が変形し、動かしにくくなることがあるとされています。
女性に多い病気として知られていますが、男性がかかることもあります。40〜60歳代での発症が多い一方、最近はさらに高齢になってから発症する方も増えているとされています。現在は治療の選択肢が増えており、早い段階で診断を受け、医師と相談しながら治療を続けることが大切とされています。
膝や腰の「すり減り」による痛みとの違い
高齢の方の関節の痛みというと、膝の軟骨がすり減って起こる変形性膝関節症などを思い浮かべる方が多いかもしれません。関節リウマチは、免疫の異常による炎症が原因という点で、こうした病気とはしくみが異なります。ただ、痛む場所や症状だけで見分けるのは難しく、血液検査や画像検査などをもとに医師が判断します。関節の病気全体については「関節疾患とは?」でも解説しています。
家族が気づきたいサイン
関節リウマチでは、次のような変化が見られることがあります。ただし、どれも別の原因で起こることもあるため、これだけで判断はできません。「前と比べてどうか」を見る目安にしてください。
- 朝起きたとき、手指がこわばって動かしにくい
- 手や足の指、手首などの関節が腫れている、押すと痛がる
- 左右の手の同じような場所が痛む
- ボタンをとめる、ふたを開ける、箸を使うといった手先の動作を避けるようになった
- 微熱が続く、だるそうにしている、食欲が落ちた
親は痛みを「年のせい」と思い込んで、自分から言い出さないこともあります。帰省したときに、家事や身支度の様子をそっと見てみると、「前はできていたことを避けている」ことに気づくきっかけになります。
受診はどこへ?家族が手伝えること
関節の腫れやこわばりが続くときは、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じてリウマチ科や整形外科などを紹介してもらうのがひとつの方法です。診断や治療の方針は、医師の判断に従いましょう。
受診の前に、ご家族が次のようなことをメモしておくと、医師に様子を伝えやすくなります。
- いつ頃から、どの関節が痛むか、腫れているか
- 朝のこわばりがどのくらい続くか
- できなくなった家事や動作
- ほかの病気で飲んでいる薬(お薬手帳)
治療が始まったら、処方された薬を指示どおりに続けられているか、一緒に確認してあげてください。治療の薬の中には、体の抵抗力に影響するものもあるため、熱が出た、せきが続くなど体調の変化があったときにどうすればよいかを、あらかじめ主治医に確認しておくと安心です。薬の量を自己判断で変えたり、やめたりすることは避けましょう。
毎日の暮らしを楽にする工夫
関節に負担がかかる動作を減らすことで、毎日の家事や身支度がしやすくなることがあります。どんな方法が合うかは関節の状態によって異なるため、主治医やリハビリの専門職にも相談しながら取り入れてみてください。
- 食事の道具を見直す:持ち手の太いスプーン、ばね付きの箸など、握る力が弱くても使いやすい道具がある。くわしくは「食事の『自助具』について」へ。
- 着替えやすい服を選ぶ:小さなボタンより、大きめのボタンや面ファスナー、伸びる素材の服を。「介助しやすい服」も参考になります。
- ふたやドアノブの負担を減らす:ふた開け器を使う、回すタイプのドアノブをレバー式にするなど、ひねる動作を少なくする。
- 重い物は持たない工夫を:買い物はキャリーカートや宅配を使う、鍋は軽いものに替える。
- 住まいを整える:手すりや段差の解消、福祉用具の利用は、介護保険の対象になる場合があります。「住宅改修とは?」、「福祉用具とは?」をご覧ください。
手伝うときは、先回りして全部をやってしまうのではなく、「どこが大変?」と本人に聞きながら、できることは続けてもらうのがポイントです。痛みの強さは日によって変わることもあるため、その日の様子に合わせて手を貸しましょう。
まとめ/手先の「小さな不便」に気づくことから
関節リウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起きる病気で、早めに医療機関に相談することが大切とされています。ふたが開けにくい、ボタンがとめにくいといった手先の小さな変化は、離れて暮らすご家族が気づける大事なサインです。受診の要否や治療については、かかりつけ医や専門の医療機関に相談しましょう。
痛みやこわばりで家事や身支度に手間取るようになると、親は「迷惑をかけたくない」と我慢しがちです。掃除や買い物の手伝い、手すりや福祉用具など、使えるサービスがあるかどうかを、介護の相談窓口で聞いておくと、親の暮らしを支える手立てが見えてきます。「どの動作が大変そうか」を伝えるだけでも十分です。
親の家事や身支度の大変さ、誰に相談すればいいか迷ったら
社会福祉法人大石ケ原会の「大石原苑介護支援センター・南吉成地域包括支援センター」(仙台市青葉区)では、ご家族からの介護の困りごとのご相談をお受けしています。痛みで手間取るようになった家事や身支度を、どんな手助けや道具で楽にできそうかなど、気になることを聞いてみてください。
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