住宅改修とは?
当ブログの↑この記事でも触れましたが、加齢に伴う老化や何らかの疾患、またはケガなどによって体を動かすことに支障が現れることがあります。
例えば歩くことに支障が出たら・・・玄関の段差、部屋と部屋を分ける境目のちょっとした凹凸など、健康な時には感じなかった不便さや危険を感じるようになります。それまでは住み慣れていた自宅なのに、「住みにくい」環境になってしまうこともあります。
実際に住まれているご自宅の構造を改めて見回してみてください。危険だと感じる箇所もあるのではないでしょうか。
特別養護老人ホームなどの高齢者福祉施設は、移動する導線に手すりが設置されていたり、車椅子でも移動しやすいように床がフラットな構造となっていたりします。これをバリアフリーと言いますが、介護を必要とする方が動きやすいように作られています。近年は高齢化社会を迎えた我が国でも、各住宅メーカーがバリアフリーに特化した建築工法を開発し、社会ニーズに応えています。とはいえ、介護が必要な状態になってから自宅を新築したり、大規模なリフォームを行うことは容易なことではありません。
こうしたことに対応するため介護保険制度には「住宅改修」のサービスがあります。今回は、介護を必要とする状態になっても住み慣れた自宅で生活が続けられるように居住環境を整える「住宅改修」について詳しく解説します。
住宅改修で対象となる工事(箇所)は?
介護保険で支給対象となる工事は、以下のようなものです。
- 手すりの取り付け
- 段差解消(床のかさ上げ・下げ、踏み台、スロープ設置等)
- 滑り防止等を目的とした床・通路面の材質の変更
- 扉の構造変更(ドアから引き戸等)
- 和式便器から洋式便器の取替え
- 上記5項目の住宅改修に付帯する工事
病気や怪我によって、日常生活動作に現われた支障はひとりひとり違いますし、当然自宅の構造も異なりますが、以下に例を挙げておきます。参考にされてください。
むやみやたらに手すりを取り付ければ良いというものではありません。自宅で生活するに当たって日常的に移動するところ、立ち上がる動作が必要な場所(「居間や寝室からトイレまでの通路」「外への出入り口となる玄関」「浴室・トイレ」など)に設置する必要があります。これを生活動線と呼びますが、生活動線の危険性を軽減させ動きやすくする設定がとても重要となります。
脳梗塞などで麻痺の障害を持った方に多いのですが、歩行が「すり足」の場合、1㎝にも満たない段差につまづき、転倒してしまう事例も多く見受けられます。それには手で掴まれるところを作ることに加え、床をフラットにすることで安全性を高めることが出来ます。
洋式のドアですが、開閉をするにはドアノブを回し、前後に押す・引く身体的動作を要します。そのため片麻痺の方には適しません。しかし、引き戸にすることによってスムーズな開閉が可能となります。
毎日使うトイレ。近年珍しくはなってきましたが古い日本家屋ですと和式便器を使用されているご家庭もあります。介護をまだ必要としない方でも、しゃがんで立つ動作を必要とする構造に負担を感じる方も多いのではないでしょうか。洋式便器にすると、しゃがむ動作が「座る」動作に変化し、排泄がしやすくなります。
このように、自宅を自分の体に適した構造にすることによって介護される側、する側にとっても格段に住みやすい環境になるわけです。
住宅改修の手続きは?
支給の対象や条件は?
介護保険の住宅改修は、工事に係る費用を補助する制度で、これを「居宅介護住宅改修費」と呼びます。
原則として1人1回、20万円を上限として支給されます。
介護保険が根幹となる制度であるため支給を受けるには介護認定で要支援あるいは要介護の認定を受けることが条件となっています。
原則として1人1回ですが「住民票変更を伴う引っ越しを行い、居住環境が著しく変化した場合」や「要介護度が3段階以上上がった場合」については、例外的に再度支給を受けることが可能となります。
事前申請が必須
給付を受けるには、改修前に住民票を置いている自宅がある市町村(保険者)に事前に申請を行う必要があります。仮に事前申請を行わないで工事を行い、事後に申請を行っても支給対象になりませんので注意が必要です。
事前の申請に当たっては対象となる利用者の身体状況や工事を必要とする家屋の構造、図面、見積り及び改修することで期待できる生活変化について証明できる諸々の写真、書類及び申請書を提出する必要があります。こちらを保険者(市町村)が審査し、必要性が認められた場合に支給対象になる流れです。
申請には地域包括支援センターやケアマネージャーに相談を
申請を行うにあたっては介護保険制度や住宅改修の専門的知識も必要であるため、お近くの地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネージャーに相談するのがよろしいでしょう。後述する悪徳リフォーム対策にも有効です。
住宅改修に当たっての注意点
悪徳リフォーム業者に注意
一人暮らしや老人世帯の高齢者に対して高額の工事費を請求する悪徳リフォーム被害の発生が報告されています。
一部のリフォーム業者が「介護保険でリフォームが出来ます」という触れ込みで、支給上限20万円の説明もせず、リフォームを持ちかけてくる話が増えています。その結果、介護保険の支給対象を超えて改修させる他に、本来必要のない工事も追加され、高額な金額を自己負担せざるを得ないケースも出ています。
気軽にやり直しはできないからこそ相談や確認を!
こうした被害に遭うことを防ぐためにも地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネージャーに相談することをお勧めします。介護保険制度の専門家であるケアマネージャーは住宅改修について、相談・手配・申請を行うに当たり以下の5点に注意して対応を行います。
- 本人にとって、今本当に必要な工事であるのか
- 本人の状態が変化していくことで今後もっと別の工事が必要となる可能性はないか
- 介護保険をつかうことのできる工事内容なのか
- 工事の価格は適正であるか
- 介護についての知識もある信頼できる施工会社なのか(リフォーム業者は市町村から介護保険住宅改修業者としての指定を受けているのか)
住宅改修工事は、高齢となっても住みやすい環境を作り出す大変優れたサービスです。しかし、福祉用具貸与などのレンタルと違い、気軽にやり直したり、元に戻したりできないサービスでもあります。
後になって後悔しないよう、情報収集や相談を行い、十分確認したうえで住宅改修を行いましょう。
【当法人が仙台市より委託を受けている地域包括支援センター】
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